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建築家・筒井紀博さんオススメ、アメリカ・フェニックスの魅力

プロフェッショナルの感性を刺激する旅先と、その思い出をお聞きするインタビューコンテンツ。第30回の今回は、建築家・筒井紀博さんに、お仕事に対する思いやアメリカ・フェニックスの思い出について伺います。

新進気鋭の建築家として注目を集める筒井紀博さんは、住宅や店舗のインテリアや内装といった小規模のものから、商業ビルをはじめとする大型物件まで、実に幅広く手掛けています。

「持ち味ですか?周囲からは“ガレージハウスと愛犬家住宅なら筒井だよね”というイメージを持たれていますが、決してそれだけではないんですよ(笑)。結果的には、こだわりのある施主さんからいただく住宅関係の仕事が全体の5割を占めていますね」

ところが、現実的には建築家に家づくりを依頼するユーザーは全体の5%に満たないのだとか。そこに“敷居の高さ”が存在していると指摘します。

「実は皆さんが思っている以上にコストパフォーマンスは高いし、僕たちは設計だけではく、工務店に対する見積もり依頼からチェック、金額の交渉、現場監理までを担当するので、一括でお任せいただけるというメリットもあります」

建築家と一緒に作る家には、コストや手間といった現実的な要素のみならず、建売やハウスメーカーが作るものでは享受できない魅力があるといいます。

「僕たちは単に物理的なものを提供するのではなく、生活スタイルそのものをご提案します。どういう風に生活していったらもっと楽しくなるのか、それを知るためにけっこう突っ込んだところまでヒアリングを行います」

例えば車が好きな人なら、自分の車のどのアングルから見るのが好きか?なぜその車に乗っているのか?までをヒアリングする。興味がある部分を掘り下げて、それを住空間に反映させるのだといいます。

「似顔絵を描く作業に似ているのですよ。例えば、たれ目の人だったら、それを大げさに表現しますよね。それと同じで、そのご家庭のアイデンティティを空間の中に大げさに表現していくことで、より愛着がわくようになります」

ところが要望をしっかりヒアリングする一方で、それを必ずしもそのまま反映するわけではないともいいます。

「具体的な要望だけをピックアップすると、どうしても“今、こうしたい”と目先のことだけに目が行ってしまいがち。僕らは確かに3次元を作っているように考えられますが、そうではなく、多次元領域でモノを作っている。時間軸という要素も考えていかなくてはなりません。だから、今が良くても10年、20年経過したときに生活がしづらかったら意味がないのです」

独立してから15年。誰でもいいのではなく、“ここに作るのなら筒井の建築が欲しい”と、そう思ってもらえるような仕事を積み重ねてきたといいます。

「自分が持って生まれた職の才能を生かすのが使命。誰でもできる仕事は他がやればいい、そんな意識で仕事に向かっています」

アメリカ・フェニックスで受けた衝撃

決して、平坦な日々を過ごしてきたわけではない。29歳で独立し、がむしゃらに仕事に取り組んできた筒井さんにも、思い悩む時期があったといいます。

「独立して5~6年が経過し、仕事が急激に増えて、それまで一人でやっていた仕事もスタッフを雇うことにより、一つひとつの仕事への自分の関わりが薄くなってしまいました。ちょうどプライベートでも離婚調停に入るなど色々なことがあって…。忙殺された日々から一度離れて自分を見直したいと、それでアメリカに一か月ほど旅をしようと考えました」

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とにかく一度、建築から距離を置きたい。大自然の中に身を置こうと、サンフランシスコから入ってヨセミテやグランドキャニオンを車で回ろうとざっくりした計画を立てたといいます。

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「このルートで行くのならばフェニックスに寄って、私が敬愛する建築家フランク・ロイド・ライトが冬の家として利用していたタリアセン・ウエストを見てこようと、軽い気持ちで考えたのですが…」

そもそも筒井さんが建築を目指した背景に、ライトの影響は少なからずあったといいます。

「建築的にシンパシーを受けたわけではないのですが、私が祖父に建築家になることを相談したときに、ライトが手掛けた帝国ホテルの例をあげながら説明を受けましたし、私が幼少期を過ごしたピッツバークにはライトの代表作である落水荘がある。ところが彼が実際に手掛けた大型建築物は見たことがなかったのですよね…。でも、実際にこの目で見たら、衝撃を受けてしまいました。霊感があるわけではないのですが、ライトの魂を感じたというか、彼がここで過ごしていたという事実にゾワゾワゾワっときてしまって…。自分が目指しているベクトルのはるか先にライトがいるという無力感に襲われたのです」

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その衝撃はしばらく尾を引いたといいます。帰国後、3か月間は仕事も手がつかない状態に陥っていたのだとか。

「再び仕事に向かうことができたのは、まず離婚が成立して、失うものはもう何もない、何でもこいという気持ちになったのと同時に、ライトの作品や波乱万丈の生き方を考えれば、まだまだ自分は枠にはまっていたなと。そこからかなり思い切った、大胆な提案を投げかけるようになったのですね。そうしたら、たまたまそれを受け止めてくれるお客様がたくさんいて、それが面白くて、やはり建築は楽しいなと、そう思えるようになったのです」

ピッツバークで原点に返る

そんな筒井さんが今、注目している旅先はいくつかあります。

「僕のクライアントが住んでいるドイツオランダには呼ばれているので一度は顔を出したいですよね。あとは3歳から4歳の頃に過ごしたピッツバーク。やはりアメリカでの生活が僕の作品の中にもそれなりに活きているとは思うのですよね。当時、ライトの落水荘を見ていないですから、それは見なくちゃと思う一方で、ちょっと怖いですよね、また衝撃を受けたらどうしようと。怖いけど見たい、ここで負けたら男じゃない、みたいな感覚ですね」

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筒井さんにとっての旅とは、もちろん大切なマインドリセットの時間であることは確かなのですが、ちょっとした小旅行では満足できないといいます。

「建築家の仕事は、ひとつの物件をまとめ上げるのに一年以上もの月日を費やすものです。携わる時間が長いからリセットにも時間がかかるのかもしれません。やはり単なる観光ではなく、少なくとも一か月以上かけて、そこで生活してみないと気が済まない」

今後は教会やギャラリー、セカンドハウスなど、人がより五感を使うような非日常空間を手掛けていきたいという筒井さん。長い旅の中で新しいインスピレーションが生まれるのでしょう。

筒井 紀博さん https://www.facebook.com/kihaku.tsutsui http://www.ktts.jp/

インタビュアー:伊藤秋廣(エーアイプロダクション

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