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泊まってみたい!東京のアートなホテル

現在、リノベーションを通じてさまざまな「アートなホテル」が国内に誕生しているのをご存知ですか。その先駆けとも言える東京・汐留のパークホテル東京、支配人である小野淳志さんに、この取り組みを始められた背景を伺いました。

東京・汐留にあるパークホテル東京では、2012年12月から「Artist in Hotel」という客室のアートプロジェクトがスタートしています。このプロジェクトは、単に客室にアートやオブジェを飾るのではなく、壁に直接アーティストが絵を描き、客室そのものを作品にしてしまう試みなのです。世界中から注目を集める一大プロジェクトはどのように始まったのでしょうか。

「オープン10年目を迎え、コンセプトのリブランドを図ることになった時、“日本の美意識が体感できる時空間”をテーマに掲げ、その表現方法として“アート”という手法を選択しました」というのは同ホテルの支配人である小野淳志さん。他のホテルとの差別化を図ることを目的に、“ここにしかないもの”を創り出そうと考え、部屋そのものに直接、絵やオブジェを施してみようと思い至ったのだそうです。

「最初は冗談半分で、“そんなことができたらすごいね”と笑っていたのですが、会議を重ねるごとに具体化されていきました。当時はホテル業界全体が冷え込んでいた時期。“思い切ったことをやらなくてはいけない”という意識が、我々の中にありました」

他に類を見ない試みであったため、まずは一部屋からトライしてみようと、手探りの状態から改装に着手。協力してくれるアーティストを探し出し、打ち合わせを重ねながら漠然としたイメージをカタチにしていったといいます。

「まずは“相撲”という部屋が完成。その迫力に圧倒されました。日本伝統のテーマでありながら、スタイリッシュに仕上がっている。この部屋を目にしたとき、プロジェクトの可能性を感じながら、“ここまできたら後戻りはできない”と決意を固めました」

作品としての完成度は高かったものの、この一部屋だけでは販売もしづらく、またゲストの反応もはかりづらい。決意を固めた以上、広くアーティストを公募し、本格的に3部屋、4部屋と作り続けていったといいます。

「当初は、“とにかく話題になればいいだろう”といった程度の意識でしかなかったのですが、想定以上に稼働率があがり、ビジネスの上でも手ごたえを感じるようになりました。特に外国人のゲストの利用が9割以上と非常に高く、プロジェクトを進める中で、彼らが、おもしろい部屋に泊まりたがるというか、ここで過ごす時間を特別なものにしたいという意識が高いということがわかってきました」

以前から外国人利用が多かった同ホテル。“東京タワーが見える部屋”が空いていたら、欧米人のゲストほどそちらにグレードアップしたがる傾向があるのだそうです。それはアジア人のゲストより顕著なのだといいます。

「そんな彼らがアートルームに宿泊し、その感動をソーシャルメディアで拡散してくれることで、このプロジェクトも注目を集めるようになっていきました。もちろん日本人のゲストも多く宿泊されます。皆さん最初は“この部屋に泊まるの?”などと戸惑いの声をあげられる方が多いのですが、面白いことに5分もいると落ち着いてくる(笑)。チェックアウトの際には“楽しかった”といってくださいます。やはり泊まってみないとわからない良さがあるのでしょうね」

すっかり話題となった今では、本プロジェクトに参画したいと応募してくるアーティストが後を絶たず、予定している31階の31部屋のほとんどが、テーマも決定している状況です。このプロジェクトはこの規模のホテルでは大変珍しい取り組みとして多くの海外メディアにも取り上げられています。

「参加されているアーティストからは、まるで“すごく長い常設展”のようだと好評をいただいています。これだけ作品に近づけて触れられるわけですから、アートファンにとっては特別な空間であることは間違いありません。今後も“アートと言えばパークホテル東京”と真っ先に名が出てくる存在でありたいですし、お客様に特別な体験を提供し続けていきたいと思っています」

「相撲」 2012.12 第1弾 木村浩之 木村浩之さんのメイン作風である「相撲」。伝統的な日本国技を丁寧かつユーモラスに描いています。

「芸者金魚」 2015.02 第9弾 成田朱希 客室を水槽に見立て大胆にペイントした油絵。7か月という時間をかけて赤い金魚を壁面のみならず天井にも作画しました。

「銭湯」 2014.09 第11弾 右田 啓子 「日本人の飾らない日常にある文化」としての「銭湯」をモチーフに。銭湯の中にいるような錯覚をおこさせる絵を描いています。

「桜」 2015.01 第13弾 大竹寛子 日本人の愛する「桜」をテーマに日本画家の大竹寛子さんが手掛けた作品。客室の角を屏風の折り目のように見立て、桜の木を描いています。

(取材協力) パークホテル東京 http://parkhoteltokyo.com/