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プロフェッショナルの感性を刺激する旅Vol.22~シャンソンシンガー・前川薫さんのサンフランシスコ

プロフェッショナルの感性を刺激する旅先と、その思い出をお聞きするインタビューコンテンツ。今回は、シャンソンシンガーと会社経営者の2つの顔を持つ前川薫さんに、シャンソンの魅力や、サンフランシスコ留学時代の思い出についてお聞きします。

経営者とシャンソン歌手の二つの顔を持つ前川薫さん。自らの中にある“多様性”に気がついたのは、素敵に年齢を重ねてからのことだといいます。

「大学を卒業してから、ずっと生命保険会社に勤務。営業畑でキャリアを重ね部下の指導にもあたってきました。でも、ある時にふと気づいたのです。私って会社のことしかわからない。これは私の望んでいる生き方かしら。せっかくの人生、色々なことを経験したいと思ったのです」

前川さんが活躍していた時代には、まだ“ダイバーシティ”や“マルチ”という言葉がありませんでした。在籍している会社で定年まで頑張るのが正しいことという暗黙知があり、ひとつのことを追求するのがプロという感覚が世の中に浸透していました。

「尊敬する上司も、定年間際になると憧れる人生を送っているようには見えなかった。こういう風に年をとって行きたいの?会社しか知らないとこうなっちゃうのでは?もっと色々なことを知っておくことで、自分の心が豊かになれる、幸せになれると思ったのです」

そんなタイミングで、実家が営む会社を手伝うようにとの話が前川さんに舞い込みます。

「父も高齢になっていましたし、母も心配だったのでしょう。私も生命保険会社の仕事は嫌いではなかったのですが、子どもが生まれて、保育園の問題に悩まされていました。だったら、ここでリセットしてもいいだろうと思ったのです」

持ち前のバイタリティと、生保の営業経験の中で培ってきた外交センスを活かしながら、すぐにお父様の右腕のような存在になったという前川さん。サラリーマン時代よりは時間の余裕ができたこともあって、新しいチャレンジがしたくなります。

「ゴスペルを始めたんですよ。最初はカルチャースクールに通っていたんですが、やがてスクールから独立して自主的活動をはじめて、毎年クリスマスコンサートを開催するようになったのです。ママ友でもあるピンクの電話の清水よし子さんが、たまたま見に来てくれていて、“薫ちゃんはシャンソンが似合っている!”と勧めてくれて、ちょうど彼女が習っていた先生を紹介してくれたのです」

好奇心に導かれるがまま、市ヶ谷にある、お酒を飲みながらシャンソンを聴くことができるシャンソニエの奥に用意されているレッスン場に顔を出してみたという前川さん。そこで、はじめて日本のシャンソン文化にはじめて触れることになります。

「CDではなくライブが根付いているのですよ。話によると、日本は本場フランスよりもシャンソンが盛んな国で、ということは世界一番、愛好家も多い。都内にはシャンソニエがけっこうあって、どちらのお店も盛況なんですよね。私もまったく知らなかったし、最初のレッスンで何を歌いたい?といわれてもまったく答えられない(笑)。エディットピアフの名前すら知らない状態だったのです」

先生の方針で早々に舞台に立たされたという前川さん。集団で合唱するゴスペルと違ってひとりで舞台に立つことに多少の抵抗はあったものの、40代半ばを越えた大人の新たなチャレンジはとても刺激的だったといいます。

「シャンソンの愛好家は年齢層が高く、60代~70代の方が現役で歌っていらして、私なんか若手中の若手。ちょっとした話題になって、多くのお客様が私の歌を聞きに来てくれるようになったのです」

歌えば歌うほど、知れば知るほどシャンソンの奥深さに魅了されていく。前川さんは練習を重ね、学び、そして作品の中にある“何か”を伝えよう、そこに描かれている情景や作者の思いを聴衆と共有したいという思いを抱きながら歌い続けるといいます、

「シャンソンは音楽じゃない。文学だという人もいます。歌うというより“物語り”に近いような感覚。人生経験が重要だから、年齢層が高いのかもしれません。私もまだまだ修行中の身ですが、そんな自分を見ていただいて、成長の姿を楽しんでくださるお客様が多いことに感謝です」

現在は月に一回のペースでステージに立っている。同時に、お父様から受け継いだ会社の代表取締役として会社の切り盛りもしている。さらに、最近は地域のボランティアもやっているといいます。

「どれが本業で、どれが副業で、それが趣味とか、そういった区別はありません。どれもせっかく与えられたチャンスだからチャレンジしていく。私は経営者、私はシャンソン歌手ではなく、私はあくまで前川薫なのです」

サンフランシスコで知った“美学”

そんな前川さんが、現在の自分の原点となる旅先として選んだのがアメリカサンフランシスコ。大学3年の春休みに2ヶ月間のホームステイを経験しました。

「学生時代から好奇心旺盛な子でした。なんでも見てみたい、なんでも経験してみたいって。当時、世界一といわれていたアメリカをこの目で見てみたいと思ったんですよね」

サンフランシスコの空が高く感じた。なんか自分ってちっぽけな存在だと感じた。

「けっこう、ウジウジ悩むタイプだったんですよ、それまでは。でも、私の悩みなんて小さいって思えて、妙に楽になった。こうしなきゃいけないっていう固定観念からはずれて、自由であることの心地よさを知ったんですよね」

ホームステイで得たことも多かったという。銀行員だったホストファザーが時差通勤する姿も、当時、フレックスタイムすらなかった日本の通勤事情を知る前川さんの目には新鮮に映りました。

「アメリカでは、当時から女性が優遇されていて、ホストファザーが銀行から帰ってきて、しっかり皿洗いをするんですよ。ホストマザーはTVをみながらくつろいでいる…。そのときはものすごくショックを受けたんですよね。自分の家では考えられない。だって父は一切家事をしない人でしたから。でも、なぜだかそのときはアメリカの女性の姿が素敵には見えなかったんです。当時、ウーマンリブ全盛期だったんでしょうか。女性があまりに威張りすぎている姿は私には素敵には見えませんでした。日本人でよかったなと」

その時に感じたことが、現在の前川さんのベースになっているといいます。

「男性としてとか、女性としてとか、限定することなく、しなやかでありたいと思うのです。パワーが落ちるような状態はなるべく回避したい。だから私は、いくつになっても新しいチャレンジをしたいし、新しい自分の可能性を見出して歩いていきたい。自分の持てる力を発揮している瞬間に人は美しくなれるのだと思うので」

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ロンドンに惹かれる理由

前川さんが今、もっとも心惹かれる旅先はヨーロッパ。特にイギリスには何度も訪れたいと思っているといいます。

「若いときにはアメリカに行ってパワーをもらうことが多かったのですが、年齢とともにヨーロッパに惹かれるようになりました。友人が住んでいるイギリスの魅力にハマってしまって、何度もリピートしています。イギリスの食事っておいしくないって評判ですけれども、実はそんなこともなくて、現地の人が言うには、ここ数年で各段に良くなったって(笑)。美しいロンドンの街並みが今、一番好き」

パワフルな女性である前川さんにとっての旅とは、さらにエネルギーと刺激がもらえる機会だといいます。

「旅は人生を豊かなものにしてくれます。豊かな人生、それは自分の臨終の席で、“楽しかった”と思えること。だから、その日がくるまで、やりたいこと、興味あることにチャレンジしたい。経験してみなければわからないことは山ほどあります。まずは試してみて、気にいったら深堀していく。シャンソンもそういう感覚でハマってしまったのです」

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人生を豊かにする材料は、自分で探しているわけではなく、自然と出会うもの。だからこそ、前川さんは常に視野を広げ、“知る”ことを大切にしているのかもしれません。

前川薫さん https://www.facebook.com/kaoru.maekawa.3

インタビュアー:伊藤秋廣(エーアイプロダクション

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