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プロフェッショナルの感性を刺激する旅Vol.3~フードセラピスト・杉山映美子さんの隠岐島

プロフェッショナルの感性を刺激する旅先と、その思い出をお聞きするインタビューコンテンツ。今回は、フードセラピストとして活躍する杉山映美子さんに、お仕事に対するご自身の思いや、“気づき”のあった旅について話を伺います。

自らが料理を作るのはもちろん、レストランやカフェから依頼を受けて、テーマに沿ったメニューを開発したり、最近は生産者と企業との橋渡し役を担うなど、食に関する様々な活動に従事する杉山映美子さん。“フードセラピスト”という肩書は、自らがつけたものではなく、彼女の料理を口にした知人の一言がきっかけとなり、いつしか周囲の人々の間で、そう呼ばれるようになったのだといいます。

「知人のセラピストが主催するサロンのお手伝いしたときのことです。“映美ちゃんが作る料理を食べると、カラダも心も嬉しくなるから不思議。まるで食のセラピストみたいだね”と言ってくれたのです。元々、味覚として美味しいだけでなく、食べている人の心に響いたり、その方の身体が細胞レベルで喜んだり、とにかく私のお料理でその方が元気になって、前に進んでいくためのお手伝いができればと考えていたので、その思いが伝わったのかなと嬉しかったですね。その気持ちや姿勢は今も変わらず、自分の軸になっているのは確かです」

杉山さんが料理を作ったり、メニューを考えたりするときには、いつでも提供する相手を知ろうと努めるのだといいます。

「目の前にいらっしゃるお客様であれば、直接的なコミュニケーションの中から、相手が求めるものをキャッチして、自分として最大限、何ができるかを考えます。味や食材の好みを聞くだけでなく、その佇まいや目線の動きから、相手のコンディションを読み取って、こちらから提案することもあります」

相手の好みや食材の旬や味付けなどの物理的な要素と、その相手へのこまやかな配慮という“思い”がバランスよく融合したときに、その人にとって、最高の味というものが具現化されるのだとか。

「お店のメニューを考えるときも、基本的な姿勢は同じです。このお店にやってくる客層についてしっかりリサーチして、そして今、彼らが何を求めているのか?あらゆる側面から考え、相手の立場になりきって想像していきます。用意したメニューを実際に食べられたお客様の反応も確認しながら、改善することも忘れません」

だからこそ、杉山さんが用意するメニューにまるで個人的に用意もらったかのような温かみを感じるファンが増えているのでしょう。現在は、青山にあるカフェ「Life Creation Space OVE」で杉山さんが丁寧に組み立てたメニューが展開されています。

隠岐諸島にある海士町で気づいたこと

そんな杉山さんの心の拠り所となった旅先は、島根県の隠岐諸島にある海士町。東京を中心に各地でマルシェを運営する友人の誘いで、行政が主催する地域振興のディスカッションに参加したのだそうです。

「海士町は今でこそ、行政の先進的な取り組みによって、人口の一割超がIターン住民という、地域再生の成功例として注目を集めていますが、当時は他の離島と同じように、少子高齢化や過疎化の問題を抱えていました。町長を中心に、外部の識者を積極的に招いて、島の将来について具体的な議論を重ねていたのです。そこで私たちの専門領域である“食”を通じて、何かお手伝いできないだろうかということで、ディスカッションに参加させていただいたのです」

食のプロである杉山さんから見た海士町は、大変魅力的な場所だったといいます。

「島に住む生産者や漁師さんのお話を聞いてまわりました。皆さん、自分の生まれ育った場所に誇りを持っていましたし、それを色々な人に知ってもらいたいと考えてはいたものの、伝える手段が見つからなかったり、島特有の閉鎖的な考えもあったのだと思います。話を伺って交流を重ねるうちに、もっとこの島のことを知りたい、私に何かできないだろうかと考えるようになりました」

自分なりにできること。まずは、海士町の食材や調味料を使った料理を、自らが関わるお店やイベントで提供していこう。料理を通じて、その場所の良さを伝えていこうと考え、具体的なアクションを行っていきました。

「いきなり大それたことはできません。でも、結局は、積み重ねだと思うのです。“杉山が作っている料理には海士町の塩が使われているんだって”という認知からはじまって、“海士町ってどういうところだろう?”といった興味に繋がっていけばいいなって思うのです。そしてそれが私がやりたいことだと気づきました。食を通じて人と人をつないだり、人と土地をつないだり、あるいは土地と土地、国と国をつなぎたいのだ。そういったことに気づかされたのが、この海士町での経験でした」

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イギリスの食文化の根本に迫りたい

この海士町訪問をきっかけに、様々な地方から声がかかり、全国各地の生産者とのネットワークが広がっていったという杉山さん。

「自分が“できること”は小さなこと。でも、“できること”の枠は限定せず、もっともっと広げていきたいと。今、惹かれているのはイギリスですね。イギリスの食文化って、少しネガティブなイメージがあるじゃないですか。それって本当かな、“知らない”というだけで、人々の誤解や偏見が生じているんじゃないかなって思うのです。まずは自分自身が現地で確認してしっかり伝えたい。“食”ってある意味、国境や言葉を越えたコミュニケーション手段だと思うので、そこから理解が生まれることもあると思うのです」

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“食”を通じて、あらゆるものを繋いで、ギャップを埋めていこうと考える杉山さんにとって、海士町の旅は、“気づき”を与えてくれる大きなきっかけとなったようです。

杉山映美子さん https://www.facebook.com/emiko.sugiyama.14 http://www.ove-web.com/

インタビュアー:伊藤秋廣(エーアイプロダクション