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プロフェッショナルの感性を刺激する旅Vol.16~サックス奏者・石川周之介さんのアムステルダム

プロフェッショナルの感性を刺激する旅先と、その思い出をお聞きするインタビューコンテンツ。今回は、サックス奏者として活躍する石川周之介さんに、音楽に向かう姿勢や転機となったアムステルダムの魅力についてお聞きします。

サックス奏者として活躍する石川周之介さん。アーティストのツアーやレコーディングのサポート、楽器の指導から雑誌コラムの執筆、そしてもちろん、ご自身のグループを率いて精力的な演奏活動を展開しています。石川さんが魂を込めて演奏するのはジャズ。昨年には「Mind Your Step」というフルアルバムを発表し、国内はもちろん、アムステルダムロンドンベルリンなどをめぐるワールドツアーを敢行しました。

「意外に思うかもしれませんが、日本はジャズが演奏できる場所の数が世界一多い国と言われています。東京にあるライブハウスの数は、ニューヨークのそれよりもダントツ多いですし、どこの都道府県にもジャズ喫茶があります。こういう国は、アメリカはもちろん、ヨーロッパにも見当たりません」

日本人のジャズ愛好家も非常に多く、しかも、幅広い世代から一定の支持を集めているといいます。

「世代によってジャズの捉え方は違います。例えば、コルトレーンやマイルスをリアルタイムで聞いてきた世代は、伝統的なジャズを好む方が多く、若い世代は幅広くジャズを捉えている傾向があると感じます。中学校や高校の吹奏楽部、大学ジャズサークルの盛り上がりも影響してか、愛好家のみならずアマチュア演奏者の数も、他の国に比べて非常に高いという特徴もあります」

とはいえ、実際にライブに足を運ぼうとする人は少ない。ジャズは世界的に見ても難しい立ち位置にあるのだとか。

「難しいとか、敷居が高いというイメージがあるのかもしれません。実際、ジャズクラブに足を運ぶのは敷居が高いですよね。最近は各地でジャズフェスティバルが開かれていたり、カフェで気軽にライブが聞けるイベントが多くなったような気がします。身近に音を楽しむ機会が増えると嬉しいです」

アムステルダムで音楽と生きていくことを決意

大学生の時代に名門のビッグバンドに所属。一度はIT企業に勤務する会社員として社会に出たものの、違和感を覚えていたといいます。

「就職前からプロになりたいという気持ちはありましたが、それで食っていく自信がありませんでした。なので、しっかり体系的にサックスの演奏について学んでみようと留学を考えました」

わずか3年で会社を辞めて、貯めたお金を持ってシアトルへ。石川さんはまず、そこで語学を習得して、公立大学で音楽を学ぼうと考えます。

「半年後にはジャズのメッカであるニューオリンズに移り住みました。そこで入学条件となるTOEFLの点数を確保して、ニューオリンズにある州立大学に入学を果たしたのですが、想定以上に授業料が高かったのです。一学期分しか支払えずに、やむを得ず帰国しようとしていたら、やはり同じく留学しに来ていたオランダ人に“だったらオランダに来ないか”と誘われたのです」

おりしも9.11事件が発生し、多くの外国人留学生が帰国準備を進めていた時期。教育に対する意識が高いオランダでは学費がほとんどかからないということを聞いた石川さんは、そのまま転校することを決意します。

「あまりにも熱心に誘ってくれたし、自転車で二人乗りするときにも身体を密着させてくるものですから、てっきり彼はゲイかと(笑)。でもまったくの思い過ごしで、今でも仲良くしています」

ロッテルダムにある音楽大学(Codarts)に入学し、そこでジャズやワールドミュージックを学んだという石川さん。「一流の先生や志の高い生徒たちが集まる環境に身を置き、有機的なディスカッションを行うことで、自らがなぜ躓くのか、それをどう乗り越えるのかを理解できます。歴史を学び、数々の名演を聞くことで、自分の中に蓄積されていく音があります。オランダの学校では、ビッグバンドに参加したり、地元のライブハウスでセッションしたり、そういう貴重な経験を積む事が出来ました」

石川さんは、音楽を演奏するうえでは、“感性”と“論理”は相反するようで、その両方が機能しあうともいいます。

「音大では「音楽理論」は多角的に音楽を捉えるツールとして必須科目です。アスリートがカラダの事を知るとさらに、深みが増す感じと似ているかも知れません。演奏者も同じで感覚と分析が共存することで深みが出るのだと思います。」

ロッテルダムからことあるごとに電車乗って、アムステルダムに出向いたという石川さん。その街が放つ輝きに魅了され、大いに刺激を受けたのだとか。

「音楽はもちろん、あらゆるカルチャーが集結する、とても刺激的な街ですね。様々な国籍の人が集まるインターナショナルな環境で、前衛的なアートの中心というイメージがあります。僕をオランダに連れてきてくれた友人や、先生達もアムステルダム在住という事もあり留学時は頻繁に訪れておりました。デザイナー、写真家、料理家の方達とも交流を持つ事が出来たのは、とても刺激になりました。モチは餅屋という感覚が少なく、まずは融合してみようという気概があり、様々なイベントが開かれています。自分も昨年先生の繋がりもあってアムステルダムでライブさせて頂いたのですが、その時感じた温かい気持ちが音楽家として生きる原動力になっています」

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ニューヨークではじめる二冊目の音楽人生

そんな石川さんが、今もっとも興味を抱いている街は、憧れのジャズミュージシャンがたくさんいるニューヨークアメリカ留学時代にも何度か足を運んだ場所ではあるが、14年振りに訪れたいのだといいます。

「これまで生きてきた音楽人生を本に例えるならば、第一巻目を閉じて、第二巻目を開く時期がきているような気がしています。一冊目の本を閉じるためには、ニューヨークに行く必要がある、とクールなエクスキューズと共に熱が高まっております(笑)」

20代の延長だった30代を終えて、40歳代に突入。考え方が大きく変わり、やりたいことも明確になりました。

石川さんにとっての旅とは、アメリカ留学から始まった自らの音楽人生のすべて。これからも旅をつづけながら生きていく、その決意はすでに固まっているようです。

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石川周之介さん https://www.facebook.com/shu.ishikawa http://shumusic.net/shumusic/Home.html

インタビュアー:伊藤秋廣(エーアイプロダクション

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