ローマ人によって造り上げられたレーゲンスブルクの街
ドナウ川のほとりに位置するレーゲンスブルクは、ドイツ最古の石橋をはじめ、ドイツ最古のソーセージ屋等が残る歴史ある街として有名です。紀元前からケルト人が住んでいましたが、街を造らせたのはローマ帝国五賢帝の最後の皇帝、マルクス・アウレリウスといわれています。ドナウ川の南にローマ帝国の軍事拠点として西暦179年に造られた石造りの城壁は、現在も主要門ポルタ・プレトリア等数ヶ所が残っています。
中世には通商路沿いの交易都市として栄え、旧市街にある多くの建物が13世紀から15世紀に造られました。当時、貿易であちこちに出かけていた富豪商人と呼ばれるお金持ちたちが、最先端の建築様式をイタリアから持ち帰ったことから、レーゲンスブルクにはイタリアを感じさせる建物が多く残っており、ドイツにありながら「イタリアで最も北にある町」とも呼ばれています。
商人の文化を色濃く残す、塔のある風景
レーゲンスブルクは、ドイツ国内で最も中世の面影を残す古都として知られています。ローテンブルクやニュルンベルク等、他にも中世の街並みが有名な都市はありますが、戦争で多くの建物が破壊され、ほとんどが終戦後に修復されたものです。その中でレーゲンスブルクは戦火を免れ、当時の建物がそのまま残っている貴重な街として、「ドイツ中世の奇跡」ともいわれています。
中世の特徴のひとつとして、商人達が財力を示すため、高さを競い合って塔を建てたことが挙げられます。旧市街地には今でもたくさんの塔があり、当時はそのような塔が60基もあったといわれています。それ以��にも、昔からある多くの教会や修道院にも塔があり、そこら中に塔が建っていたそうです。
ドイツで最もクナイぺ(大衆居酒屋)の密度が高い都市
中世の面影が残る街なかには、ビールからカクテルまで各種アルコールが揃い、ちょっとした食事もできるドイツの大衆居酒屋「クナイペ(Kneipe)」やカフェがたくさんあります。レーゲンスブルクはドイツ国内で最も「クナイペ」の密度が高い都市といわれていて、いつもたくさんの人が「クナイペ」でビールを飲みながら思い思いに楽しんでいます。またレーゲンスブルクは学生が最も過ごしやすい都市ともいわれていて、学生にも人気がある活気のある街です。
ミュンヘンからレーゲンスブルクへの行き方
レーゲンスブルクには空港がないため、日本からは飛行機でミュンヘンに行き、ミュンヘンから列車等でレーゲンスブルクに移動することになります。ミュンヘン国際空港からフライジング(Freising)駅まで路線バスで移動した後、フライジング駅からALEXという列車に乗り、レーゲンスブルク中央駅まで約1時間40分ぐらいで到着します。
移動の際は、ミュンヘン国際空港で「バイエルンチケット」というお得な鉄道チケットを購入しておくことをお勧めします。平日は、午前9時から翌日の3時まで有効(土・日・祝日は午前0時から有効)なチケットで、バス、鉄道(ローカル列車)、トラムが一日乗り放題で使えるとても便利なチケットです。料金は1人25ユーロで、同行者が増える度に一人当たり6ユーロが追加され、合計が5人になるまで追加することができます。15歳以下の自分の子供と孫は無料になります。レーゲンスブルク中央駅の自動券売機でも購入できるので、レーゲンスブルクからミュンヘンに移動してオクトーバーフェストに参加する場合にも便利です。オクトーバーフェストは、会場内や駅周辺などにも大勢の人が集まるビールの祭典です。荷物の管理には十分気をつけてください。
レーゲンスブルクでおすすめのホテルとレストラン
たくさんのホテルがあるなかで、特におすすめなのが、旧市街の入り口にあるレーゲンスブルク大聖堂の北に位置する「ホテル・ビッショフスホフ・アム・ドム(Hotel Bischofshof am Dom)」。バイエルン料理を提供するレストランを併設し、観光客のみならず、地元の人でも賑わうホテルです。たくさんの花や観葉植物が植えられている石畳の中庭は、どことなく中世のお城にある中庭をイメージさせます。建物そのものがローマ時代の城壁沿いにあり、城壁の主要門が敷地内にあるほか、スイートルームの「ポルタ・プレトリア・スイート」では、なんとローマの石造りの壁がそのまま室内の壁として用いられている部分があり、歴史を感じさせてくれます。
【ホテル情報】ホテル・ビッショフスホフ・アム・ドム(Hotel Bischofshof Am Dom)住所:Krauterermarkt 3, 93047 Regensburg電話:+49-941-58460
もう一つ、レーゲンスブルクのホテルでおすすめなのが、レーゲンスブルク大聖堂の目の前にある「ホテル・カイザーホフ・アム・ドム(Hotel Kaiserhof am Dom)」。14世紀前半に富豪商人によって造られ、当時はホテルの左隣りに並ぶ緑色と赤色の建物も合わせたとても大きな建物だったそうです。レーゲンスブルク大聖堂やレーゲンスブルク中央駅、壮麗で歴史的にも重要なトゥルン・ウント・タクシス(Thurn und Taxis)宮殿も徒歩圏内と最高の立地条件です。窓からレーゲンスブルク大聖堂を眺めることができる客室もあるので、予約の際に問い合わせてみてください。
【ホテル情報】ホテル・カイザーホフ・アム・ドム(Hotel Kaiserhof am Dom)住所:Kramgasse 10-12, 93047 Regensburg電話:+49-941-585350
レーゲンスブルクで食事をするなら、ビールの醸造所直営のレストランがおすすめです。街の中心から少し離れたアルヌルフシュプラッツ(広場)に面した「ブラウアライ・クナイティンガー(Brauereigaststätte Kneitinger)」は、1530年から続く歴史ある醸造所に併設されたビアホールです。ランチを過ぎた頃からビールだけを飲みにくる常連客が集まり、おしゃべりをしたり、新聞を読んでいたりと地元の人たちで賑わいます。シュバイネブラーテン(バイエルンの典型的な家庭料理で、豚肉をローストしたもの)や、焼きソーセージもいいのですが、ビールで煮込んだ肉料理もおすすめです。
【レストラン情報】ブラウアライ・クナイティンガー(Brauereigaststätte Kneitinger)住所:Arnulfsplatz 3, 93047 Regensburg電話:+49-941-52455営業時間:9:30-00:00
筆者ご紹介 | ||
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| 地球の歩き方レーゲンスブルクWeb特派員 吉村 美佳鳥取県出身。学生時代、社会人時代にバックパッカーとして25カ国を歩き回るうち、南米エクアドルでドイツ人と知り合ったのが運命の分かれ目。2002年12月よりドイツ在住。レーゲンスブルク観光局公認現地ガイド。普段は教会やビッグバンドでトランペットを吹いたり、自宅でピアノを教えたり。フリーライターとしても。地球の歩き方レーゲンスブルクWeb特派員ブログからお届けしています。 |
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