フィンランド南東部に位置するサヴォンリンナは、湖の中の島々を繋げて形成された人口3万人ほどの町です。中心地から車で30分ほどの都市・ケリマキには、木造教会としては世界最大級のケリマキ教会があります。2018年、開設から170周年を迎える、青空に映える大きな黄色のケリマキ教会をはじめとするこの街の魅力を地球の歩き方 サヴォンリンナ特派員 ラネサン千景さんにご紹介いただきます。
- もくじ
1. こんなところに世界最大級の木造教会
首都ヘルシンキから列車、または長距離バスで約4時間半、フィンランド南東部にある町・サヴォンリンナ。その近郊ケリマキにあるケリマキ教会(Kerimäen kirkko)。外観は鮮やかな黄色で、夏は青空に、冬は真っ白な雪に映え、丘の上にそびえ立つその姿はおおらかな優しい美しさに包まれています。
夏季のみ中に入ることができ、年間約2万人以上の観光客が訪れます。今年2018年、ケリマキ教会は開設から170年を迎えます。
礼拝堂は長さ45メートル、幅42メートル、高さ27メートル、ドームの上までの高さ37メートル。内部のベンチは座席数3,000席以上あり、立ち席などを含めると5,000人を収容できます。鐘塔には大小ふたつの鐘がおさめられています。
2. 日本の寺院建築にも通じる、ケリマキ教会
1844年、建築家グランステッドゥ(A.F.Granstedt)は、最初に1,500人が入れる教会を設計しました。しかし、当時の教会員の数は約12,000人でした。その半数が入れる教会を、という要望によって5,000人収容の大きな教会を設計することになりました。
フィンランド木造教会の研究者、竹内晧さんによれば、この教会の構法はポストアンドビームと言われる日本の古い寺院建築と同じ手法が使われているそうです。(竹内晧『フィンランドの木造教会を訪ねて―小さな教会から世界一大きな教会へ』,リトン, 2013年)
3. 大きすぎて冬は使えない!?
ケリマキ教会はその大きさのため、冬は寒くて使用されていません。1900年代前半には、薪ストーブが8台設置されたこともありましたが、1940年代の終わりに温めたのが最後だそうです。現在も4台が残っています。冬の間は隣に併設されている1953年に建てられた「冬教会」と呼ばれる小さな教会を使用します。
4. ケリマキ教会へのアクセス
日本からサヴォンリンナやケリマキまでの直行便は無いため、まずヘルシンキ空港へ行きます。ヘルシンキからサヴォンリンナ駅へ列車で移動し、そこからケリマキ教会方面へ向かいます。途中にケリマキ駅がありますが、この駅から教会までは遠く、交通手段もありませんのでここで降りないようにご注意ください。
ケリマキ教会へは、サヴォンリンナ駅のバスターミナルからケリマキ方面行きのバスに乗っていくことをおすすめします。平日なら1時間半に一本程運行されています。料金は片道6.10ユーロ、約30分でケリマキの中心部に到着します。バスを降りると教会が見え、徒歩約5分で到着します。
【スポット情報】
ケリマキ教会(Kerimäen kirkko)
Hälväntie 1, 58200 Kerimäki
5. ケリマキ教会近くのおすすめレストラン、カフェ
ケリマキ教会のすぐ前にあるカフェ「カイヴォピルッティ(Kahvila Kaivopirtti)」は、地元の人の憩いの場でもあります。
客席は店内に35席、夏はオープンテラスに80席追加され、教会を眺めながら食事やコーヒーを楽しめます。作り立てのハンバーガーやムンッキ(フィンランド式ドーナツ)、アイスクリームが人気で、平日は日替わりランチも人気。
【スポット情報】
カフェ カイヴォピルッティ(Kahvila Kaivopirtti)
Hälväntie 1, 58200 Kerimäki
https://www.facebook.com/KahvilaKaivopirtti/
6. サヴォンリンナおすすめホテル
ケリマキ教会を訪れる際は、拠点となるサヴォンリンナでの宿泊が便利です。おすすめのホテルは、サヴォンリンナ駅前にある「オリジナル ソコスホテル セウラウオネ サヴォンリンナ(Original Sokos Hotel Seurahuone Savonlinna)」。何といっても駅から歩いてすぐという近さが魅力的です。
ホテルを出ればマーケット広場、蒸気船の並ぶ港が目の前です。
ケリマキ方面へのバスが出発するバスターミナルへも、メインストリートをまっすぐ進めば徒歩約10分というアクセスの良さ。ホテル内にはもちろん、周辺にもレストラン、カフェがあります。
【ホテル情報】
オリジナル ソコスホテル セウラウオネ サヴォンリンナ
(Original Sokos Hotel Seurahuone Savonlinna)
Kauppatori 4-6, 57130, Savonlinna
https://www.sokoshotels.fi/en/savonlinna/sokos-hotel-seurahuone
筆者プロフィール
地球の歩き方 サヴォンリンナWeb特派員 ラサネン千景
2002年よりフィンランド在住。高校生の頃に読んだ一冊の本がきっかけでフィンランドに出会い、気がついたらこの地で生きていくことに。サヴォンリンナ出身の夫、娘二人と暮らしています。あまり知られていない東フィンランド、サヴォンリンナの魅力を地球の歩き方 サヴォンリンナWeb特派員ブログからお届けしています。
※情報はすべて2018年5月現在のものです。