せっかくの海外旅行ですから、やっぱりおしゃれも楽しみたい。そんな大人のツーリストが工夫すべき“旅先ファッションのポイント”について、プロのスタイリストの方に話を伺ってきました。
プロのスタイリストとして多くのメディアで活躍してきた澤木祐子さん。ご自身が担当する多くのモデルや芸能人の撮影、文化人の講演会やビジネスに同行し、ヨーロッパ各国、ハワイやアジアなどに渡航した経験があるといいます。
「ファッション的に面白いのは、やはりヨーロッパの都市。ニューヨークも面白いのですが、普通のアメリカ人はTシャツと短パンでOKみたいな感覚があるので(笑)。それに比べて、ミラノやパリでは街を歩いているすべての人が、自らのファッションを気にしている。ファッションに携わる人間としては、大変刺激的な街といえます」
ファッションは街のカルチャー
そんな澤木さんは、ファッションはその街のカルチャーでもあり、風景の一部であると捉えています。「その街のトーンにマッチしているのかどうかを考える。それは誰に会うのか、どういうシーンなのかを考慮するのと同様に、大切なファッション・マナーだと思います。例えばイタリアなのか、リゾート地なのか、アジアなのか。行先をイメージしながら着ていく服を用意したり、あるいは現地で調達してもいいかもしれません」
その街にマッチしたファッションを楽しむことは、旅先で非日常を楽しむ感覚と同じだと澤木さんは言います。
「若いうちはバックパッカー・スタイルで良いかもしれませんが、やはりある程度年齢を重ねると、ナイトライフを楽しんだり、人と交流したり、ラグジュアリーな時間を過ごす場面に遭遇する可能性だってあります。今はSNSで旅の記録を共有する方も多くいらっしゃいます。後で旅行写真を見直す時もそうですが、いつまでも残る旅先でも記録や記憶の中で、やはり素敵な装いでいることは重要ですし、とにかくおしゃれをすれば気分もアガって、旅行の楽しみも倍増するはずです」
旅先コーディネートのコツ
とはいえ、旅行カバンのスペースは限られているし、昨今では重量制限も厳しくなっています。1週間程度の海外旅行でも、おしゃれな服をたくさん持っていくわけにはいきません。
「旅先に持参する洋服の条件として、しわにならない、洗濯をしてもすぐに乾く、そしてコンパクトにまとめられて、着回しが利くものをセレクトするのがコツといえます」

澤木さんがお勧めするのは、メインとなる“ジャージワンピ”を中心にトップス、ストール、ボレロを合わせるコーディネート。伸縮性のある素材のワンピースはコンパクトに畳めてしわにならず、現地で洗ってもすぐに乾くという優れものだとか。



「ワンピースとして着て、トップスを重ねてツーピースに見せる。さらにストールやボレロと併せれば、2コーディネートで5パターンの着回しができるようになります」
確かに、トップスや色味が鮮やかで大きなストールを合わせることで、大きく印象が変わります。これであればカジュアルにも、少々カタいシーンでも応用が利きそうです。



「靴を数足持っていくのも大変なので、すべて黒一色でカバーできるように配慮。帽子も小さく折りたためるようなものを持っていくといいですよ」
せっかくの大人の旅ですから、旅行先の雰囲気にマッチしたコーディネートを意識。組み合わせを考慮してファションアイテムを持参したいものです。おしゃれは楽しい旅行をより一層盛り上げてくれるはずです。
(取材協力)
Stylist Office Birth
スタイリスト
澤木祐子さん

澤木さんが理事を務める「一般社団法人 国際スタリングカウンセラー協会」では、芸能人やモデルのみならず、一般の方々に向けたファッションカウンセリングや提案などを実施しています。http://stylingcounselor.com/(インタビュー 2015年6月実施)