- もくじ
ロストバゲージを防ぐためにできること
1. 目印を付ける
ロストバゲージ(預け入れ荷物の紛失)の原因には、航空会社の不手際に起因するものもありますが、他の乗客が自分の手荷物と間違えて持ち去ってしまうケースも少なくありません。ベーシックなデザインのスーツケースは特に要注意。他の乗客の荷物と紛れてしまう事態を防ぐには、ネームタグやベルト、ステッカー、スカーフなどの目印が有効です。

2. 過去の荷物シールは剥がす
飛行機利用時に荷物を預けると、スーツケースにフライト名を記載した小さなステッカーを貼られます。面倒だから、あるいは記念に取っておきたいからと、過去の荷物シールを剥がさずにいるのはあまり良くありません。余計な混乱を生じさせないためにも、過去のフライトの荷物シールは剥がしておきましょう。

3. 貴重品・必需品は機内に持ち込む
前述の事前対策によってロストバゲージのリスクはある程度軽減できますが、残念ながら100パーセント防ぐことはできません。ロストバゲージによるダメージを最小限にするためには、貴重品や必需品は機内に持ち込むことが有効です。

現金やカメラなどの貴重品を預け入れ荷物に入れないのは常識ですが、いわゆる貴重品でなくても、なくなると困る物は案外あるものです。最低限の下着、薬、重要書類、女性なら化粧品などですね。1~2日をしのぐための身の回り品を機内持ち込みにしておけば、万が一荷物がなくなってしまっても、最悪の状況は防げます。
4. スーツケースの写真を撮っておく
ロストバゲージに遭遇したときに役立つのが、預けたスーツケースの写真です。ロストバゲージを申し出るとスーツケースの特徴などを聞かれますが、写真があれば一目瞭然。日本語が通じない国でも、確実に特徴を伝えることができるため、見つかりやすくなります。何が入っていたのかを示すため、また自分自身の備忘録として、荷造り後のスーツケースの中身の写真も撮っておくといいでしょう。

5. 荷物の引換証は大切に保管する
出発空港のチェックインカウンターで手荷物を預けると、荷物の預かり証として、レシートのような紙またはステッカーのようなものを渡されます。到着空港で手荷物をピックアップする際、この預かり証を確認されることはほぼないため、ついついその存在を軽視しがち。しかし、いざロストバゲージに遭遇したとなると、勝手が違ってきます。

預かり証は、自分が航空会社に荷物を預けたという証拠。預かり証があることで、確かに荷物を預けたということが簡単に証明できるので、スムーズな対応が受けやすくなります。
ロストバゲージに遭ってしまったら
1. 手荷物紛失証明書(PIR)の発行を受ける
到着空港で自分の荷物が出てこない。そんなときにまずすべきが、地上係員に「I can’t find my luggage(荷物が見つかりません)」などと伝えること。係員が確認してもやはり見つからない場合は、手荷物紛失証明書(Property Irregularity Report)を受けることになります。

このとき、フライトナンバーやバゲージタグナンバーが必要になりますので、航空券の半券や荷物の預かり証を見せるとスムーズです。加えて、紛失したスーツケースの種類や色、ブランドなども合わせて聞かれますので、前述したスーツケースの写真が活躍します。
2. トラベルキットをもらう
航空会社によっては、ロストバゲージに遭った乗客のために、歯ブラシなどが入った無料のトラベルキットを用意している場合があります。必ずもらえるとは限りませんが、「May I have a travel kit?(トラベルキットはもらえますか)」などと尋ねてみる価値はあるでしょう。

3. 購入品のレシートを取っておく
ロストバゲージに遭遇した場合、現地で着替えなどを購入することがよくあります。ロストバゲージが原因で、衣類や洗面用具などの必需品を購入しなければならなくなった場合、後で荷物が見つかった場合でも、たいていその購入費用は補償の対象となります。しかし、補償を受けるには購入品のレシートがあることが前提。ロストバゲージに伴う出費があった場合は、レシートを捨てずに保管しておく必要があります。

また、航空会社や搭乗クラスによって、補償の上限額や対象金額が異なる場合があります。手荷物紛失証明書の発行を受ける際、可能であれば補償対象となる品物や金額の上限を確認しておくといいですね。
4. 補償の請求
到着空港で荷物が出てこなかった場合も、ほとんどは5日以内に発見されると言われています。荷物が遅れて見つかった場合、厳密には「手荷物遅延(Delayed Baggage )」と定義され、荷物が見つかるまでにかかった費用が補償の対象となります。ただし、補償の条件は、航空会社や搭乗クラス等によって異なり、全額補償されるとは限りません。また、「補償の請求はフライトから◯日後まで」等の条件が定められているため、その期間を過ぎないよう注意が必要です。
一定期間が経過後もどうしても荷物が見つからない場合に、ロストバゲージが確定します。この場合は、ロストバゲージが原因で新たに発生した費用や、紛失したスーツケースとその中身が補償対象になります。しかし、補償内容は利用した航空会社が加盟している条約(ワルソー条約またはモントリオール条約)に則って決められ、被った損害の全額が補償されるとは限りません。

紛失したスーツケースと品物の補償に際しても、購入時のレシートの提示を求められるため、補償のハードルは高く、労力を要するのが実情。クレジットカードであれば過去にさかのぼって利用履歴が見られるため、クレジットカードで購入しておくといざというときに助かります。
ロストバゲージに遭ってしまったら
5. ロストバゲージを補償する保険がある
運悪くロストバゲージに遭遇してしまった場合、それによって生じた損害のすべてを航空会社に補償してもらうのは容易ではありません。海外の航空会社であれば英語でやりとりしなければならない場面も多々あります。

なくなったら困るものは極力機内持ち込みにするのが一番のロストバゲージ対策ですが、保険でロストバゲージに備える方法もあります。旅行保険に航空機寄託手荷物遅延等費用の補償が含まれている場合もありますし、一部のクレジットカードにも付帯しています。どうせ海外旅行保険に加入するのなら、ロストバゲージへの補償があるものを選ぶのも一つの対策になりそうです。
筆者プロフィール
春奈 (トラベルライター)
和歌山出身の元会社員。旅先でドイツ人夫と出会い、ドイツ移住を機にフリーランスのトラベルライターに転身。これまでに世界60カ国280都市以上を訪問。バックパッカーから、5つ星ホテルに泊まる贅沢旅行まで、多彩な旅のスタイルを経験。街歩きが大好きで、なかでも「旧市街」「歴史地区」と呼ばれる場所に目がない。現在は日本在住。