秋の八甲田山は見どころがたくさん!
四季の色合いがはっきりしている青森県。特に紅葉の季節はたくさんの観光客で賑わいます。八甲田山は青森市の南方に広がる複数火山の総称で、日本百名山のひとつです。
標高によって自生している植物に違いがあり、その彩りがこの時期になると特に顕著です。また、火山の名残として、温泉や噴気口の跡の沼などが点在しているのも特徴です。
ひとことに八甲田山といっても、四季によって、場所によって見どころがたくさんあります。10月の中旬から下旬にかけては、山頂から裾野に向かって美しいグラデーションを見ることができます。
一生に一度は見たい蔦沼の絶景
インスタグラムや観光ポスターに起用されて有名になったこの場所は、八甲田山の麓、標高460メートルにある蔦沼(つたぬま)です。対岸の山々が紅葉と朝陽によって黄金に染まる姿が、水面に反射してとても美しいシンメトリーを生み出します。朝陽が差し込んで時間を追うごとにどんどん染まっていく様子は、本当に見とれてしまうほど。
この光景が見られるのは、1年にわずか数回です。さまざまな気候条件が揃って初めて見ることができます。この絶景を求め、蔦沼の遊歩道には全国各地から多くの写真家が押し寄せます。
ちなみに、初夏の青々とした時期の蔦沼も風情があります。鬱蒼とした森の中、静かに水面が広がる風景はとても神秘的で、季節によって表情が変わるのも八甲田山の魅力です。蔦沼のさらに奥には、月沼、鏡沼、長沼、菅沼、瓢箪沼、赤沼があり、これらは「蔦の七沼」と呼ばれています。
中腹からは八甲田ロープウェーがおすすめ!
八甲田山には中腹から山頂に向かってロープウェーが運行しています。この「八甲田ロープウェー」から見える紅葉の重なりがまた美しいのです。黄、赤、茶、そして針葉樹の深緑。昼と夜の寒暖差によって紅葉は進むそうですが、急激すぎると葉は茶色に焼けてしまったり、落ちてしまったりするそうです。八甲田山の紅葉は、絶妙な気温差で毎年ちょっとずつ違う色づき具合を見せてくれます。
ロープウェーに乗るには、乗車口がある山麓駅まで行きます。山麓駅までは、青森市の中心部から1日に数本のバスが運行されているので、スムーズにアクセスできます。
ロープウェーの出発駅となる山麓駅は、紅葉の時期になると大変混み合います。時には2時間待ちなどということも・・・。「八甲田ロープウェー」の公式ホームページに混雑状況がリアルタイムで更新されているので、事前に確認しておくと時間のロスが少ないかもしれません。
ロープウェーの料金は大人(中学生以上)片道1,180円、往復1,850円です。乗車時間10分ほどで頂上に到着します。
車でお越しの方には、城ヶ倉大橋から見える紅葉がおすすめです。城ヶ倉大橋は上路式アーチ橋のなかでも、アーチ支間長が255メートルと日本一の長さを誇る橋です。足がガクガクするほどの高さですが、橋から下を見ると十和田八幡平国立公園の景勝地でもある城ヶ倉渓流を眺めることができます。晴れた日には、紅葉の先に青森県の最高峰・岩木山が見えることもあります。
【スポット情報】
八甲田ロープウェー
住所:青森市荒川字寒水沢1番地12
電話:017-738-0343
営業時間:平日 9:00~16:20(冬季15:40)
それぞれ違った魅力が味わえる睡蓮沼と地獄沼
「蔦の七沼」以外にも、八甲田連峰にはたくさんの沼や湿原があり、それぞれ違った魅力が楽しめます。なかでも標高980メートルの湿原地帯にある睡蓮沼から望む八甲田山の眺望は、ひときわ雄大に見えると言われています。針葉樹の山々の下に、色とりどりの紅葉が広がる景色は格別で、この場所もまた、朝早くから多くの写真家が集まるスポットのひとつです。
地獄沼は酸ヶ湯温泉のすぐ近くにあります。火山活動のなごりである噴気口がいくつかあり、硫黄の匂いがたちこめ、ガスや温泉が湧き出ています。沼の色は乳緑色で、その名の通りあの世を連想させる不思議な光景が広がります。
気になる服装と持ち物は?
八甲田山の紅葉を最大限満喫するためには、目的に合わせて服装と持ち物を調整することをおすすめします。蔦沼の朝の絶景を見るなら、日が登る前からスタンバイしておく必要があります。しっかりめの防寒具が必須のアイテムです。朝の気温は5度近くまで下がることもあり、日によっては雪が積もることもあります。日の出前に出発する方は、コートやジャケットはもちろんのこと、帽子、手袋、マフラー、耳あてなどで、充分に防寒してください。ちなみに今年の八甲田山は平年より早く、10月5日に初冠雪を迎えました。
持ち物は水鏡をしっかり撮りたいのなら三脚があった方が良いでしょう。また、八甲田登山をするなら履物はしっかりしたものが必要ですが、沼巡りやロープウェーでの観覧、城ヶ倉大橋などをドライブする程度なら、歩きやすい靴があれば充分です。
写真提供:岾谷知樹
八甲田山へのアクセスとおすすめ宿泊施設
渓谷や沼など見どころがたくさんある八甲田山。空港からそれぞれの目的地を巡るには、レンタカーを借りるのが一番よいでしょう。宿泊施設によって、特別価格でレンタカーが利用できる所もあるので、予約時に確認してみてください。青森市や八戸市に宿泊するなら、十和田湖・奥入瀬渓流から八甲田山の沼巡りまでできるJRバスが便利です。
朝の蔦沼を見たいなら「蔦温泉旅館」がおすすめです。蔦沼を含む「蔦の七沼」散策ができる遊歩道の入口が、旅館を出るとすぐ近くにあります。
「蔦温泉旅館」は、明治の文人、大町桂月(おおまちけいげつ)が冬篭りに宿泊していた宿です。奥入瀬や十和田から近く、バスも停まるので、アクセスも良好です。
情緒あふれる館内には、洋館と和屋敷の2つの棟があり、それぞれの雰囲気が楽しめます。また、温泉もあるので、登山や撮影などアウトドアで疲れた身体を癒すには最適です。
「蔦温泉旅館」の一番の魅力は、何といっても自然にとても近い場所にある立地です。朝の蔦沼を見ようとすると、青森市に宿泊した場合は朝4時に出発しなければなりません。しかし、「蔦温泉旅館」なら日の出の時間に合わせて起きれば、朝靄に浮かぶあの絶景に出会えるかもしれません。
【ホテル情報】
蔦温泉旅館
住所:青森県十和田市奥瀬字蔦野湯1
TEL:0176-74-2311
写真提供:蔦温泉旅館
四季折々の見どころが満載の八甲田山。一度訪れたらやみつきになる魅惑の景色を堪能しに、今年の紅葉狩りは青森へ出かけてみませんか。
筆者プロフィール
地球の歩き方青森Web特派員 鈴木 麻理奈
青森生まれ青森育ち。自然も美味しいものもたくさん!海も山も川もあって、お花も咲き誇る青森県に住んでいます。青森県には四季を彩る景色、風景がたくさんあります。地元ならではの魅力を存分にお伝えできるよう、ローカル情報を地球の歩き方青森Web特派員ブログからお届けしています。
尚、本記事ではフォトグラファー岾谷 知樹さんの許可を得て、一部画像を使用させて頂いております。