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スカイスキャナー ニュース 世界からも注目、サステナブルな国内の旅行先6選

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世界からも注目、サステナブルな国内の旅行先6選

新型コロナウイルス感染症を契機に、自分が移動すること・旅することが社会に与える影響について改めて考えた人も多いでしょう。今回は、「サステナブルな旅行先トップ100」に選出された日本の6エリアの取り組みをご紹介します。環境だけでなく地域社会の持続可能性を実現する旅の形について、一緒に考えてみませんか。

※新型コロナウイルス感染症の影響により、自治体によっては住民の移動や観光客の受け入れに関して制限を設けたり、自粛を要請したりしている場合があります。方針は随時変更されます。旅行の際は、出発地・目的地の各自治体の公式サイトで最新のガイドラインをご確認ください。

※記事内の航空券価格は、スカイスキャナーから「最安値の月」で検索した際の最低価格です(羽田/成田空港発、エコノミークラス大人 1 名、 往復便)。2020 年12月10日時点の検索結果に基づいており、価格は随時変動しています。

サステナブル(持続可能)な旅や観光を推進するオランダのNPO、「Green Destinations Foundation」。この団体は毎年、サステナブルな取り組みを行っている旅行先100カ所を選出しており、今年10月に発表された「2020年サステナブルな旅行先トップ100(2020 Sustainable Top 100 Destinations)」では日本から6エリアが選ばれました。

100カ所は、同団体が定めるサステナブルな旅行先の基準「Green Destinations Standard」に基づいて選出されます。この基準には、「固有の自然や野生生物へのダメージを避けているか」はもちろんのこと、「その地域の価値や特性、文化的遺産を損なわないようにしているか」「旅行者だけでなく、地域住民や地域経済に十分に配慮しているか」「地域の観光産業が持続可能な発展を遂げられるか」といった項目も含まれます。

つまり「サステナブルな旅」とは、単なる“環境保護”や“エコ”にとどまりません。特定の地域やタイミングに観光客が集中し混雑すること(いわゆるオーバーツーリズム)や過疎化といった地域課題の解消を目指し、旅行先の住民や地域経済にもプラスになる、広い意味での持続可能性を考えた旅なのです。旅行者を受け入れる側としてその実現に取り組んでいるのが、「サステナブルな旅行先」というわけです。

スカイスキャナー  グリーンデスティネーション

さて、今回サステナブルな旅行先として選出された日本の6エリアについてさっそくみていきましょう。各エリアの背景や取り組みをまずは知ることが、サステナブルに旅する第一歩になるはずです。

1. 【岩手県釜石市】どこまでも続く美しい海岸線

一方に山々、一方に入り組んだ地形が美しいリアス(式)海岸が広がる自然豊かな岩手県釜石市。再生可能エネルギーや廃棄物の削減に積極的に取り組んでいる市としても知られ、2019年も「サステナブルな旅行先トップ100」に選出されたほか、銅賞(Green Destinations Bronze Award)も受賞しています。

釜石市は、青森県八戸市から宮城県石巻市までの太平洋沿岸に広がる「三陸復興国立公園」の一部。手付かずの自然が残り、希少な海鳥が生息する島々が点在しています。半島側にも、ニホンカモシカやツキノワグマなどの大型動物が多く生息しています。

岩手県釜石市・三陸復興国立公園
太平洋沿岸に広がる三陸復興国立公園

同国立公園の自然を肌で感じたいなら、「みちのく潮風トレイル」を歩いてみましょう。この道は、青森県八戸市〜福島県相馬市の4県28市町村にわたる、全長1000キロ以上の日本最長トレイル。コースは釜石市の海岸線にも沿っており、国立公園内の自然歩道や歴史ある古道を歩くことができます。

岩手県釜石市みちのく潮風トレイル
みちのく潮風トレイル

多くの団体や所有者がかかわるこのトレイルは、「みちのく潮風トレイル憲章」という理念のもとに運営されています。「自然と人の共生を示す象徴の道」を目指すことをうたっていて、美しい景観はもちろんのこと、地域住民と訪問者との交流、自然の恵みと震災の記憶、自然と共生する暮らしや歴史・文化を大切にしようという思いがこめられています。

2. 【沖縄県】多様な動植物が生きる亜熱帯の森

ビーチをイメージする人も多い沖縄県ですが、本島北部には豊かな森が広がる自然の宝庫、「やんばる」地域があります。国頭郡国頭村・大宜味村・東村にまたがる「やんばる国立公園」には国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、頭上まで伸びる大きな木々の間を川や滝が流れ、自然の息吹を感じさせるダイナミックな景観を作り出しています。

やんばるの森 イタジイ
やんばるの森のおよそ70%を占める「イタジイ(スダジイ)」の木は、樹冠の形が特徴的 (C) OCVB

ヤンバルクイナやノグチゲラなど希少な生物や、約1500種もの植物が生きるこの国立公園。日本全体の0.1%にも満たない面積の中に、国内に存在する鳥類の種のうち半分、カエルでは4分の1が生息していて、実に生物多様性に富んでいることがわかります。

3つの村ではさまざまな種類のエコツアーも実施され、地元のガイドの解説を聞きながらトレイルウォーキングやナイトハイクを体験することができます。一部のアクティビティでは参加者数の上限が決められており、やんばるの森を愛する人を増やしながら、かつ貴重な動植物を守るための試みがなされています。

やんばる国立公園ガジュマルの木
やんばる国立公園内の大石林山にあるガジュマルの巨木 (C) OCVB

自然と人々が共生してきたこの場所。空を覆う力強い木々の下、耳を澄ましてさまざまな生き物の声を聴く・・・そんな豊かな時間は、貴重な自然について深く考える機会になりそうです。

3. 【岐阜県白川郷】未来に受け継ぎたい、伝統的な文化が根づく地

美しい日本の原風景が広がる岐阜県、白川郷。ここに広がる合掌造り集落群は、1995年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。急勾配の山型をした茅葺き屋根が特徴の「合掌造り」の家屋は、雪の多い土地ならではの構造。日本でも有数の豪雪地帯であることから家同士が日々助け合う文化が育まれ、豊かな自然とともに昔ながらの農村の暮らしが感じられる場所です。

白川郷合掌造り集落 岐阜県
白川郷合掌造り集落群(写真提供 岐阜県白川村役場)

国指定重要文化財で築約300年の「和田家」をはじめ、ここには100以上の合掌造りの家屋があり、その半分以上が今も居住用に使われています。世界遺産に今も暮らしを営む人々がいて、その生活の質を守りながら貴重な建物や文化も保存し、さらに観光も両立させている––その持続可能性が評価されています。

岐阜県白川村白川郷和田家
雪に覆われた和田家(写真提供 岐阜県白川村役場)

たとえば荻町集落では、「売らない、貸さない、壊さない」の三原則を住民たち自身が定め、貴重な家屋の外観を損なう改装を行わないようにしてきたそうです。また近年では、白川郷の知名度が上がるにつれ人口1600人に満たない村に年間215万人の観光客が訪れるようになり、交通渋滞などの問題が出てきました。そこで駐車場を適切に管理したり、観光客が集中するイベント「白川郷ライトアップ」の見学を事前予約・抽選制にしたりして、暮らしと観光を両立する道を地域社会が模索してきたのです。

岐阜県白川村白川郷合掌の内部
合掌造りの建物の内部(写真提供 岐阜県白川村役場)

貴重な合掌造りを今でも見られるのは、地域の暮らしが守られてきたからこそ。これを未来へ受け継ぐために、私たちもゴミ捨てや写真撮影に関するルールを守り、私有地への立ち入りは控えるなど配慮しながら見学したいですね。

4. 【京都府京都市】混雑回避で持続可能に、山の魅力も再発見

京都市観光協会では、さまざまなアクティビティの予約ができるサイト「事前予約で楽しむ京都旅」を運営しています。世界遺産の寺社の早朝特別拝観や、僧侶による特別プライベートツアー、抹茶体験、能楽体験まで内容はさまざま。通常では非公開の文化財の特別拝観など、プレミアムな体験があるのも魅力です。

龍安寺 石庭
EvergreenPlanet / Shutterstock.com

事前予約制は、一部の場所・タイミングに人が集中することによる観光地や交通機関の混雑軽減につながり、観光客は3密を避けて安心してアクティビティが楽しめます。

混雑回避・観光客の分散化は、受け入れる側の地域社会が持続可能であるためにも欠かせません。集中を避けられれば、ゴミのポイ捨てや無許可の写真撮影といったマナー違反の解消にもつながります。繁忙期と閑散期の差が小さくなれば、たとえば宿泊施設などで質の高いサービスを常時提供できる体制が作りやすく、息の長い運営がしやすくなります。

京都府京都市
Krunja / Shutterstock.com

混雑を避け、開放感のある自然を京都で満喫するなら、山々をめぐるコース「京都一周トレイル」を歩いてみましょう。5つあるコースの随所には文化財や名所旧跡が組み込まれており、豊かな森林や清流の間を歩きながら、歴史や文化に触れられます。山上から京都の街を見渡せる絶景スポットもいくつもあり、また違った京都の顔を見ることができるでしょう。

京都府京都市比叡山から見下ろす京都市街地
比叡山から見下ろす京都の市街地

5. 【北海道ニセコ町】地域がつくる持続可能な“国際環境リゾート”

スキーの名所として今や世界的に知られている”Niseko”。シベリア方面から吹く北西の風が日本海で水分を蓄え、ニセコの山を一気に駆け上がることで雪に変わり、大量の降雪を導きます。その雪は絶妙な水分量のパウダースノー。他にはない浮遊感のある滑りができると、世界中のスキーヤーやスノーボーダーに愛されているのです。

ニセコ北海道
ニセコアンヌプリの裾野には4つのスキー場がある

雪が観光の要であるニセコエリアにとって、地球温暖化はダイレクトに地域経済にかかわる課題。気温が上がって降雪量が減ったり雪質が変わったりすると、観光業や農業に影響が出てくるからです。ゆえにニセコ町はかねてから地球温暖化対策に積極的に取り組んでおり、国の「環境モデル都市」にも選定され、今年7月には国に先駆けて「2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすること」を表明しました。豊かな自然を次世代へ引き継いでいくために、「国際環境リゾート都市・ニセコ」を地域ぐるみで目指しているのです。

北海道 ニセコ
写真提供:ニセコビレッジ

地域ぐるみの観光地運営のもう一つの例が、2001年に作られた「ニセコルール」です。1980年代、ニセコではコース外滑走が常態化し、雪崩事故が多発していました。そこで地元関係者らが検討を重ね、策定したのがこのルール。「コース外へ出るときには必ず指定のゲートを通ること」など決まり事を明確化し、雪崩の危険があるときにはゲートを閉じることで、スキーヤーの安全とコース外滑走の自由を両立させました。地域の住民が地域社会のことを考えながら観光客の安全も守り、長く愛され続ける持続可能な観光地を目指した結果といえるでしょう。

なおニセコ町の東側には、“蝦夷富士”の名で親しまれる羊蹄山の雄大な姿がそびえ、付近は支笏洞爺国立公園に指定されています。夏に山を登れば、高山植物や山頂からの素晴らしい眺望を楽しめるでしょう。冬のスキーだけでなくさまざまなアクティビティを通して、豊かな自然のパワーが体感できる場所です。

北海道 羊蹄山
雪に覆われる羊蹄山

6. 【三浦半島】首都圏の島で貴重な自然を満喫

神奈川県の南東部に位置する三浦半島は、エリア全体が「2020年サステナブルな旅行先トップ100」に選定されました。東京から気軽に行けるこのエリアには、貴重な自然が残る島々があるのです。

まずは、三浦半島の先端と橋で結ばれた城ヶ島。その美しい自然から、ミシュラン・グリーンガイドジャポンで2つ星に選ばれました。この島にある神奈川県立城ヶ島公園では、崖の上を散歩しながら海の絶景が楽しめます。天気がいい時は富士山も見えるそうですよ。

神奈川県立城ヶ島公園
神奈川県立城ヶ島公園から海を見渡す

そして、横須賀市の三笠桟橋から連絡船で10分と気軽に行けるのが、東京湾に浮かぶ「猿島」。幕末から昭和に至るまでの長い間、海の守りを固めるための要塞として使われていました。今も島内にはトンネルや砲台跡といった軍の施設が残っています。うっそうと繁る森にたたずむ、レンガ造りの要塞・・・その独特の光景は、映画『天空の城ラピュタ』の世界のようだと話題になりました。

神奈川県横須賀市猿島
東京湾に浮かぶ唯一の自然島「猿島」

さらに三浦半島南部の三浦市には、「関東地方で唯一の自然環境」と言われる緑地「小網代の森」があります。森の中央を流れる浦の川の源流から海に出るまでの広範囲で良好な自然環境が保たれており、アカテガニなど約2000種の生物が棲んでいるとか。また半島北西部の逗子市には、約70年間ほとんど人の手が入らなかったため、数多くの植物や野鳥、昆虫、水生生物などが生息する「池子の森自然公園」も。環境保全のため、緑地エリアの一般公開は土・日・休日のみに制限されています。