主要な美術館&博物館がすべて入場無料
「大英博物館」や「ナショナル・ギャラリー」を筆頭に、ロンドンにある主要な公共ミュージアムは常設展示を無料で見ることができます(特別展は例外)。これは他のヨーロッパの国ではあまり見られない制度なので、何かとコストのかかる旅行者にとってはうれしいこと。
ほかにも「テート・ブリテン美術館」「ヴィクトリア&アルバート美術館」「ナショナル・ポートレート・ギャラリー」「デザイン・ミュージアム」などの入場無料施設は多数あり、滞在中に全部を見て回るのが困難なほどです。
最近では「テート・モダン(Tate Modern)美術館」に隣接した新館もオープンしたので、特に現代アートがお好きな方におすすめです。新館の最上階には展望フロアが設けられ、テムズ川やセントポール大聖堂、金融街の高層ビル群が見渡せる観光スポットにもなっています。
【スポット情報】テート・モダン美術館(Tate Modern)住所:Bankside, London SE1 9TGTel:+44 20 7887 8888最寄りの地下鉄駅:Southwark またはBlackfriars開館日時:日~木曜日 10:00~18:00(金・土曜日 ~22:00)12月24日~26日の3日間は休館
現代アートよりも、クラシックな絵画や彫刻がお好きならば「ウォレス・コレクション(The Wallace Collection)」はいかがでしょうか。こちらは19世紀に膨大な美術コレクションを築いたリチャード・シーモア・コンウェイ伯爵の息子リチャード・ウォレス氏が引き継いだもの。
そして彼の亡き後に、その奥方が屋敷ごと国に寄贈したのです。でも、それにはひとつの条件が。「この館にある美術品は一切、門外不出!」。だから当美術館に収められたルーベンス、ベラスケス、フラゴナールなどによる名作絵画の数々はもちろん、見事なセーヴル陶器セット、彫刻類、家具、刀剣なども当時のまま。ここでしか実物を見ることができない、貴重で特別な美術館ですよ。
【スポット情報】ウォレス・コレクション(The Wallace Collection)住所:Hertford House, Manchester Square, London W1U 3BNTel:+44 20 7563 9500最寄りの地下鉄駅:Bond Street, Baker Street, Oxford Circus開館日時:毎日10:00~17:0012月24日~12月26日の3日間は休館
リバティ・プリントで有名な図案をデザインした、ウィリアム・モリス氏のギャラリーへ
ところで冒頭で名前だけ挙げた「ヴィクトリア&アルバート美術館(Victoria and Albert Museum、通称V&A)」は、ロンドンを訪れる日本人にも大変人気があります。この中にある麗しいカフェは、あまり美術品に関心のない人でも必ず立ち寄りたい!という声があがるほど。
カフェで使われているトレーにはイギリス現代デザインの父と慕われているウィリアム・モリス氏の図案があしらわれ、その模様はV&Aが所蔵している作品から選ばれています。彼の展示コーナーはV&A、4階の一角にあります。
日本ではリバティの布地で不動の人気を誇る柄「いちご泥棒」をデザインした人と言ったほうが、分かりやすいかもしれないですね。19世紀のイギリス一般家庭に芸術を取り入れよう!とアーツ&クラフツ運動を提唱したアーティスト、かつ思想家です。
そんな彼が子供時代に住んでいた家が、現在「ウィリアム・モリス・ギャラリー」として一般公開されているのをご存知でしょうか。ロンドン北東部のウォルサムストウ(Walthamstow)という町にあり、ロンドン中心地から行く場合は、地下鉄ヴィクトリア線のウォルサムストウ・セントラル行きに乗ります。終点で駅に降り立つと、プラットフォームにあるタイル壁の模様でもウィリアム・モリス柄がお出迎えです!
ウォルサムストウ・セントラル駅を出てから徒歩12分ほど、または駅前から路線バス(34番、97番、215番、275番、357番)に乗ってベル・コーナー(Bell Corner)というバス停で降ります。左手にあるフォレスト・ロード(Forest Road)に入り100メートルほどの所に「ウィリアム・モリス・ギャラリー」があります。駐車場にウィリアム・モリスの肖像画風グラフィティが見えたら、その隣にある瀟洒な館が彼のギャラリーです。
モリス氏が子供時代から青年期までを過ごした邸宅で、室内にはモリス氏のデザインした家具や壁紙、タイルなど一般的なインテリア関係の作品を中心に、教会のステンドグラスから装丁・挿絵をデザインした書籍まで彼の幅広い活動を辿ることができます。
今回紹介するのはすべて入場無料の美術館やギャラリーで、ここも例外なく無料で楽しむことができます。ただし、月曜日と火曜日が休館のため、ご注意ください。
【スポット情報】ウィリアム・モリス・ギャラリー(William Morris Gallery)住所:Lloyd Park, Forest Road, Walthamstow, London E17 4PPTel:020-8496-4390最寄り地下鉄駅:Walthamstow Central開館日時:水~日曜日 10:00~17:00休館日:月・火曜日、12月25日、26日、1月1日
オークション・ハウス「サザビーズ」で優雅に無料ギャラリー鑑賞
ロンドンにあるほとんどの美術館にはもう行ったことがあるという方には、ちょっと特別な雰囲気のギャラリーなどいかがでしょう。
それは美術品や宝飾品などのオークションで有名な「サザビーズ(Sotheby’s)」。ここでは競売に掛けられる美術品の多くを、事前に無料ギャラリーで一般公開しています。場所はニュー・ボンド・ストリート。この通りにはほかにも「クリスティーズ(Christie’s)」「ボーナムズ(Bonhams)」などのオークション・ハウスが軒を連ねていますが、一般公開ギャラリーの規模と展示数、そしてレストランなど、施設の充実度は「サザビーズ」がピカイチ。
訪れたのは10月初旬だったので、2017年10月競売品カタログにある作品を中心に展示されていました。アンディ・ウォーホル氏やデイヴィッド・ホックニー氏などの作品をたくさん見ることができ、美術館と同じような感覚が味わえます。美術館と違う点は、それぞれの作者名、作品名とともに予想落札価格が表示されていることです。そのゼロの数が桁違いに多いことに改めて驚きつつ、オークション・ハウスならではのおもしろい経験ができると思います。
地下には小さいながら素敵なレストランもあり、時間帯によってブレックファーストやランチ、そしてアフタヌーン・ティーを楽しむ客で賑わいます。午後3時からのアフタヌーン・ティーは24時間以上の猶予をもって予約が必要です。アフタヌーン・ティーの料金は1人26.00ポンド(2017年10月現在)、さらにサービス料12.5%が加算されます。
【スポット情報】サザビーズ(Sotheby’s)住所:34-35 New Bond Street, London W1A 2AATel:+44 20 7293 5000(レストランは +44 20 7293 5077)最寄り地下鉄駅:Bond Street営業時間:ギャラリー:月~金曜日 8:30~16:30(土日祝は休業)レストラン:月~金曜日 9:00~17:00(土日祝は休業)朝食 9:00~11:30昼食 12:00~14:45アフタヌーン・ティー:15:00~16:45
ストリート・アートを満喫しよう!南ロンドンの街、ブリクストン
グラフィティを中心としたストリート・アートはロンドンの至る所で見られます。でも特に集中しているのは東や南などにある若者に人気で先端的といわれる地域。20年ほど前までは移民と貧困層が多い下町的イメージだったのを払拭して、アートで格好いい街並みに変貌しているエリアです。
2016年1月に他界したミュージシャン、デヴィッド・ボウイ氏の故郷ブリクストン(Brixton)もそのひとつ。ブリクストン駅前にある彼の肖像画風グラフィティは、オーストラリア人アーティストのジェームズ・コチラン氏が2013年に描いたもの。その後ボウイ氏逝去のニュースとともに大勢のファンが花やカードをお供えしたことで話題を呼び、今ではボウイ・ファンの聖地となっています。
さまざまなグラフィティで彩られたブリクストンの通りやマーケットを歩けば、この街の魅力を肌で感じることができるでしょう。また店舗のシャッターや壁などには、店の方が意図的に描いたと思われるものも多く、街並みと同化したアートに感心しますよ!
さらにコールドハーバー・レーン(Coldharbour Lane)とアトランティック・ロード(Atlantic Road)の交差点には、日英デザイン・デュオ「イーリー・キシモト」による鮮やかな模様の横断歩道があります。マーク・イーリー氏と岸本若子氏が立ち上げた人気デザイン・スタジオも、ここブリクストンが発祥地。地方行政区によってこの横断歩道にデザインが採用されたのですから、なんともすばらしい快挙ですよね。
【スポット情報】ブリクストン(Brixton)駅前とその周辺最寄り地下鉄駅:Brixtonデヴィッド・ボウイの壁画は、ブリクストン駅を出たら目前にある信号を渡って、ファーマシー「ブーツ(Boots)」の向かい側。「イーリー・キシモト」デザインの交差点も駅から徒歩数分内。
テムズ川を一望するおしゃれなホテル「モンドリアン・ロンドン」
ロンドンでは宿泊するホテルの選択肢がたくさんありすぎて、選ぶのに困るほど。どの地域に滞在したいか、料金が自分の予算に合っているか、など基準は人それぞれ。今回はアートなロンドンをテーマに、先に挙げた「テート・モダン美術館」にも歩いて行くことができ、インテリアが現代的かつスタイリッシュなホテルを紹介します。
そのホテルとは、「モンドリアン・ロンドン(Mondrian London)」です。1970年代に建てられ、元々は海運会社「シー・コンテイナー」を筆頭に複合オフィス・ビルとして使われていた建物を、ニューヨーク生まれのモーガンズホテル・グループがホテルに再生しました。インテリアデザインで数々の受賞歴を誇るトム・ディクソン氏が船舶をイメージした、洗練された5つ星ホテルに仕立てました。
客室も船内キャビンをイメージしたそうで、寝室・バスルームともに必要な物すべてが美しい整合性でまとまっていて快適。バスルームのアメニティは、ホテルグループ同様にニューヨーク発祥の注目スキンケア・ブランド「マリン アンド ゴッツ(Malin + Goetz)」なのもうれしい!
359もの客室のほぼ半数、そして地上階レストランや最上階バーなどからテムズ川やセントポール大聖堂などを含むロンドンらしさ溢れる素晴らしい眺望を楽しめます。
最寄りの地下鉄駅ブラックフライアーズ(Blackfriars)だけでなく、各地方をつなぐターミナル駅ウォータールー(Waterloo)へも徒歩12分ほどで行くことができます。また、コンサート会場や劇場を擁する複合文化施設「サウスバンク・センター(Southbank Centre)」、400年前の建築様式で再現され、シェイクスピア劇が上演される「シェイクスピア・グローブ劇場(Shakespeare’s Globe)」、グルメな食べ歩きが楽しめる「バラ・マーケット(Borough Market)」などへ歩いて行ける便利な立地も魅力的です。
【ホテル情報】モンドリアン・ロンドン(Mondrian London)住所:20 Upper Ground, London SE1 9PDTel:+44 20 3747 1000最寄り地下鉄駅:Blackfriars, Waterloo
アートでお洒落なホテルを拠点に、無料で満喫できるアート・スポットが満載なロンドンを、存分に堪能してくださいね!
筆者ご紹介 | ||
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| 地球の歩き方 ロンドンWeb特派員 小野 雅子ロンドン西郊外に住む会社員で、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドを地球の歩き方 ロンドンWeb特派員ブログからお届けしています。 |
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