ヨーロッパ最大級のクリスマス・マーケット(マルシェ・ド・ノエル)
ストラスブールのマルシェ・ド・ノエルは、フランスでもっとも古くから続くクリスマス・マーケットです。ストラスブール市内には約300もの屋台が出店し、クリスマス用の装飾品や、フォアグラ、ソシソン(乾燥させたソーセージ)、チーズなどといった食料品、工芸品、アルザス地方の地域産品などが売られます。2017年の開催期間は11月24日から12月24日まで。入場料は無料。
マルシェが立つ場所は市内1ヵ所だけではなく、ブログリ広場、マルシェ・オ・ポアソン広場、クレベール広場、大聖堂広場など、それぞれの広場で異なるテーマに沿って店が開いています。
例えば、ブログリ広場で開かれるマルシェは、「Christkindelsmärik(幼子イエスの市場)」と呼ばれる1570年から続く歴史的なマーケット。職人による実演販売が行われ、ストラスブールおよびアルザス地方のプロの技を見ることができます。マルシェ・オ・ポワソン広場は食品やワインなどが中心。パン、フォアグラ、地ビール、ワイン生産者などのスタンドが集まります。クリスマス用にスパイスを効かせたアルザス地方のビスケット「ブレデル」も売られています。クレベール広場では100以上のチャリティー、人道団体が出店をしています。
マルシェでの食べ歩きとアルザス名物料理
マルシェ・ド・ノエルの楽しみ方といえば、何といっても食べ歩きです、特に寒い中で飲むヴァンショ(ホットワイン)は身体を温めてくれます。目の前の大鍋で作られる各種料理や、店先に並ぶブリオッシュ生地を専用の型で焼いたアルザス地方の焼き菓子クグロフなど、食べてみたくなるものがいっぱいです。どれを選ぼうか目移りしてしまいますね。
マルシェだけでなくレストランも忘れずに。アルザス地方の名物シュークルートやベックオフは、ストラスブールに来たらぜひ試したい料理です。シュークルートは、塩漬けし発酵させたキャベツを豚肉と一緒に白ワインで煮込み、ソーセージなどを加えたもの。ベックオフは、マリネしたジャガイモと肉を重ね焼きした料理です。
アルザス地方はフランスとドイツの国境に位置し、歴史的にはその時の情勢でフランス領になったりドイツ領になったりしてきました。そのため両者の文化的影響を受けてワインとビールどちらもよく飲まれます。ワイン党の人は「リースリング」や「ゲヴェルツトラミネール」といったアルザス特有の白ブドウ品種のワインを、シュークルートなどの料理と一緒にお召しあがりください。ビール党の人は「クローナンブール」「1664」などアルザスビールの代表的銘柄や、地ビールを片手に乾杯してみてください。
食べておきたいものがたくさんありすぎて困ってしまいますが、ランチはマルシェでつまみつつ、ディナーはレストランで料理とお酒をしっかり楽しむ、といった使い分けをしても良いですね。
クリスマス・マーケット巡りにおすすめの服装
冬のストラスブールはとても寒いです。夜はイルミネーションも灯り、街中が一層輝きますが、その分、寒さも増します。したがってダウンジャケットなど十分な防寒は必須です。雨や雪が降ることも多いため雨雪対策も忘れずにしてください。
フランス人がよくするスタイルは、少しくらいの雨なら傘をささず、コートなどに付いているフードを被ってしのぐというもの。人が多いマルシェでは傘が邪魔になるためこのスタイルは便利ですが、コートが撥水加工でない場合、雨が強くなるとずぶ濡れになってしまいます。小雨程度ならフードをかぶり、雨脚が強くなってきたら傘をさすといったように、臨機応変に対応しましょう。
パリからストラスブールへの行き方と市内移動
パリからストラスブールまでは、パリ東駅から高速列車TGVを使えば2時間以内で到着します。TGVの切符は公式サイトから購入できます。サイトでの購入後は、駅での発券、郵送のほかに、自宅での印刷やスマホの画面に表示させて使うなどさまざまです。TGVは日本の新幹線の切符と異なり、時期と残席数により運賃が変動します。購入時期が早ければ早いほど安いため、予定がすでに決まっているようでしたら先に切符は押さえておきましょう。
ストラスブール駅から旧市街までは徒歩での移動が可能です。トラムも走っているため、天気が悪い時や荷物が多い時、歩くのが苦手な人は、こちらを利用しても良いでしょう。トラムの運賃は片道1回1.70ユーロ(電子式カードBadgéoの場合、片道1回1.60ユーロ)です。10回分の回数券は14ユーロ(Badgéoだと13.20ユーロ)です。24時間有効な1日券は4.30ユーロですから、1日に3回以上トラムを使うなら、1日券の方がお得です。
ストラスブール市内のおすすめホテル
市内中心部はそれほど広くありません。ホテルを予約するなら、着いた当日にすぐに荷物を置ける駅前か、クリスマス・マーケットに近く歴史的な雰囲気をより味わえる旧市街のどちらかが良いでしょう。今回おすすめするホテル「オテル・メゾン・ルージュ(Hôtel Maison Rouge)」は、旧市街中心部にありマルシェ巡りに便利です。
駅前のホテルはストラスブールと他都市との移動には便利ですが、各マルシェや観光スポットまでは少し歩きます。マルシェの近くにホテルがあれば、特に冬の場合は天候が悪くなったり体が冷えたりしたら、ホテルで休憩を挟みつつ自分のペースで町歩きを楽しめます。またこのホテルは、トラムのラングストロース・グラン・リュ(Langstross Grand’Rue)駅近くにあり、ストラスブール駅から乗り換えなしでたどり着けます。
【ホテル情報】ホテル名:オテル・メゾン・ルージュ(Hôtel Maison Rouge)住所:4 Rue des Francs Bourgeois 67000 Strasbourg電話:+33 (0) 3 88 32 08 60
クリスマス・マーケットが開かれる時期は、フランスの街中が1年でもっともきらびやかになる季節です。多くの人がプレゼントを探しに出かけ活気であふれます。今年の年末年始はストラスブールで買ってきたクリスマスグッズや食品を添えて、フランスらしさを加えたクリスマスと正月を迎えてみてはいかがでしょうか。
筆者ご紹介 | ||
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| 地球の歩き方パリWeb特派員 加藤 亨延ジャーナリスト。日本メディアに海外事情を寄稿。日・仏・英の比較文化が専門。ロンドンにて公共政策学修士を修めた後、日本で雑誌記者として活動する。2009年よりパリ在住。欧州を中心に約60カ国800都市に渡航経験あり。仏外務省プレスカード所持。フランス/パリの旬の話題を地球の歩き方 パリWeb特派員ブログからお届けしています。 |
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