青もみじに竹林、そして一面の苔が美しい奥嵯峨・祇王寺。言わずと知れた紅葉の名所ですが、濃淡さまざまな緑に包まれる初夏の祇王寺は、秋とは一味違った雰囲気が広がります。特に6月は雨粒が放つ光で一層美しくきらめき、梅雨の時季の旅行先としてもすすめです。祇王寺の見所と秘められたストーリーについて地球の歩き方 京都Web特派員のAkioさんに紹介いただきます。

この時季ならではの絶景!初夏の祇王寺
京都の祇王寺は、嵐山の渡月橋から徒歩で約30分の所にあり、奥嵯峨と呼ばれるエリアに位置しています。祇王寺は紅葉の名所として有名なため、初夏の時季は比較的観光客が少なく、この時季ならではの絶景が見られる穴場的なスポットです。

参道を歩くと、中央に青もみじと苔で覆われた、一面緑色の美しい苔庭が目に飛び込んできます。濃淡の異なる苔が一面に広がる様子は、まるで緑色の絨毯のようです。さまざまな種類の苔が生息していますので、色合いや形など、じっくり違いを観察してみるのも良いでしょう。さらに参道は竹林に囲まれており、苔庭とはまた違った緑の世界を楽しむことができます。
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祇王寺に伝わる悲恋のストーリー
「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり」の一節から始まる『平家物語』。祇王寺には、長い時を越えて語られる、悲恋の物語があるのです。

『平家物語』に登場する白拍子(舞いを踊る人)の祇王は、平清盛の寵愛と手厚い保護を受けていました。ある日、仏御前という新しい白拍子が現れると、平清盛はすっかり魅了されてしまいました。祇王は、心変わりした平清盛を見て、一句の歌を残して去って行きました。
「萌え出づるも 枯るるも同じ 野辺の草 いづれか秋に あはではつべき」。芽生えたばかりの若草も枯れゆく草も、野辺の草はみな同じように秋になれば枯れてしまうように、誰だっていつかは飽きられ捨てられてしまうもの。そのような試練が訪れても耐えられるよう、心の準備をしていて欲しいと、仏御前に訴えた歌だとされています。祇王はその後、奥嵯峨の地で妹の祇女と母と共に仏門生活に入りました。

その後、祇王が書き残した歌を見た仏御前は祇王を訪ね、自らの非を詫びました。仏御前が被っていた衣を取ると、髪を落とした尼の姿でした。祇王はその姿に胸を打たれ、仏御前を許し、妹の祇女、母、仏御前と共に、この地で念仏一途の生活に入りました。その時、祇王は21歳、妹の祇女は19歳、母は45歳、仏御前は17歳だったそうです。奥嵯峨は自然の美しい所ですが、苔むした草庵で暮らすにはあまりにも若い年齢ですね。

祇王達が歩んだ悲恋の物語。苔と竹林と青もみじの深い緑の中、祇王達が過ごした時に想いを馳せてみてください。
【スポット情報】
祇王寺
住所:京都府京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32
電話番号:075-861-3574
拝観時間:9:00~17:00(受付終了16:30)
拝観料:大人300円、子供(小中高)100円
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【ホテル情報】
ANAクラウンプラザホテル京都
住所:京都市中京区堀川通二条下ル土橋町10番地
電話番号:075-231-1155
チェックイン/アウト:15:00 / 11:00
このホテルをチェックする祇王寺への行き方
「ANAクラウンプラザホテル京都」から祇王寺までは、タクシーで約30分です。電車を利用する場合は、ホテルから徒歩で約15分の位置に、JR二条駅があります。そこからJR山陰本線(嵯峨野線)に乗り、嵯峨嵐山駅で下車します(所要時間約7分)。嵯峨嵐山駅から祇王寺までは、徒歩約20分で行くことができます。

春は新緑、梅雨は濡れた苔が美しく、夏は炎天の陽射しをさえぎる深い緑、はらはらと木の葉が舞い散る晩秋。四季折々さまざまな魅力が楽しめる祇王寺で、遥かな時代へ思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
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地球の歩き方京都Web特派員 Akio
仕事は着物や和のデザイン。着物、帯、振袖のデザインが中心で、古典模様から琳派模様など、日本の今の模様を作っています。近くには桂離宮や嵐山があり、時間があればカメラと共に寺院や景色を巡り四季の京都の魅力を地球の歩き方京都Web特派員ブログからお届けしています。
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