- もくじ
オランダの公共交通機関の種類と事前に利用時間を調べる簡単な方法
オランダの公共交通機関には、上の写真のような電車、バス、トラム、メトロ(地下鉄)があります。オランダは海抜がとても低いため、地下鉄を作るには不向きな国土ですが、アムステルダム、ロッテルダム、ハーグ、ユトレヒトなどの主要な観光都市には存在しています。
公共交通機関の出発時刻は「9292」というWebサイトで調べることができます。こちらのサイトでは、出発地と目的地、日付と時間帯を入力するとどのような行き方があるか、その片道料金まで調べることができるとても便利なサービスです。筆者もよく利用します。
旅行者には分かりにくいチケット購入方法を伝授!
以前オランダでは、各公共交通機関が利用の度に別々のチケットを販売していました。現在では「オーベイチップカート(OV-chipkaart、以下OVカード)」という、共通カードが販売されるようになりました。このカードは、すべての公共交通機関利用の際に一律して利用できますので、わざわざ別のチケットを購入する必要はありません。しかし、1人につき1枚持っていなければならないため、例えば4人家族(お子様を含む)の場合は4枚の購入が必要です。1枚につき7.50ユーロのカード代を支払いますので、カード代だけでも結構な出費となり、実はオランダ人にもこの制度はとても不人気です。
まず、<電車利用、大人用OVカード購入>を例にご説明していきたいと思います(お子様用OVカードについては後ほど)。
アムステルダム・スキポール空港やオランダ国内の各駅には、このようなOVカード購入機が設置されています。
こちらがスタート画面です。オランダ語か英語かを選択でき、すべてタッチスクリーンとなっています。ここでは英語画面でご説明します。
<one-way>とは<片道チケット>、<Day return>というのは<往復チケット>のことです。このボタンを押すと、先ほどのOVカードではなく、紙状のチケットが購入できるようになっています。ただし、このチケットは通常チケット料金に1ユーロの追加となりますので、頻繁に公共交通機関を利用される方はOVカードを購入するのが良いでしょう。
それでは、オランダに到着して初めてOVカードを購入する手順をご説明します。
①スタート画面より<Other products>を選択
②<Buy an OV-chipkaart>を選択
③<Buy an OV-chipkaart >を選択
この画面では様々なOVカードの種類が選択できるようになっていますが、筆者が調べてみたところ、通常のOVカードを買うのが旅行者の方にとっては一番妥当な方法でした。例えば、<一日乗り放題カード (One-day unlimited Travel)>の場合、オランダ国内で距離の遠い都市間を一日で観光するならお得ですが、利用できる時間帯に限りがあります。また、<ジョイント・ジャーニー・ディスカウント(Joint Journey Discount)>はグループ乗客のうち、1人がオランダ鉄道の定期券を持っていれば他のメンバーの料金が割引になるというもので、旅行者向きではありません。
上の画面でOVカードにチャージしたい金額を選択します。バスのみを利用する場合は、どの金額を選んでも問題ありませんが、電車を含むその他の交通機関を利用する場合は最低20ユーロをチャージしておかないと利用できません。例えば、最初の乗車の際に20ユーロチャージされていたとしても、帰路の際に20ユーロより残高が減っているため、帰りの電車に乗る前にまたチャージしなおすということになります。ご注意ください。
この画面のあと、支払い画面が表示されます。支払い方法はVisa、Mastercar、Maestroです。現金で支払いできる端末もごくわずかに存在しますが、滅多にありませんのでカードでの支払いをおすすめします。金額は7.50ユーロ(OVカード代)+自分がチャージした金額となります。
再度、利用金額をチャージする場合は、スタート画面の右下にあるピンク色の画面のところに<Present your OV-chipkaart>と書かれていて、その矢印の方向にOVカードをスキャンする部分がありますので、スキャンさせると金額チャージ画面へと移動します。
ここで注意したいのが、子供用のカード購入についてです。スタート画面から<Other products>を選択して次の画面で<OV-chipkaart with Rail Runner>という選択肢が表示されます。<レール・ランナー(Rail Runner)>とは子供用のチケットを購入する際に選択する項目ですが注意が必要です。この画面で<OV-chipkaart with Rail Runner>を選択してしまうと、ここでもカード代の7.50ユーロを支払うことになってしまうからです。オランダの公共交通機関の子供料金に関しては、①4歳未満は無料、②4~11歳の子供は2.50ユーロで1日乗り放題、と決まっていますので、もし子供用のOVカードを買うと合計金額10ユーロ支払うことになり、子供用チケットに関しては紙状のチケットを購入した方が割安となります。よって、スタート画面で<Other products>を選択し、次の画面で<Child>を選択すれば紙状のチケットを購入できます。子供の紙状チケットには、大人用と違って1ユーロ追加とはなりませんのでご安心ください。
ただし、この2.50ユーロの紙状チケットは電車のみに有効なため、電車以外の公共交通機関を利用するお子様にはその利用交通機関のチケットを別途購入する必要があります。その都度の購入が面倒だという方は、やはりOVカードを買って、電車以外の公共交通機関利用のために20ユーロほどチャージしておくのが良いでしょう。OVカードを持っていたとしてもお子様の電車利用に関しては、1日乗り放題で2.50ユーロです。
いよいよ乗車!行き先を間違えないためにチェックするポイント
OVカードを購入して駅改札口に入るためには、日本のSuicaやPASMOのように、OVカードをスキャンさせる必要があります。
機械にカードを当ててスキャンさせてください。これを<インチェック>といいます。改札口を出る際にもカードをスキャンさせ、<アウトチェック>します。たまに改札口のない駅がありますが、その駅にはこのような機械があります。
これも<インチェック><アウトチェック>をするスキャン機です。改札口のない駅でも、このようなスキャン機で必ず乗降車の際に<インチェック>と<アウトチェック>をしましょう。
上の写真はオランダを走るトラムと電車です。すべての交通機関には乗り物の前または側面に路線番号や最終駅が書かれています。これによって、トラムやバスに乗車する際、停留所が道を挟んで2つあってもどちらの停留所から乗車すればいいのかが分かります。
バスの停留所には、停留場に停車するバスの路線番号と時刻表、通過停留所の名前が示されているため、とても分かりやすいです。
電車、地下鉄をご利用の際は、下の画像のような電光掲示板を駅で目にすると思います。
一番上の表示は<11時8分発、Tilburg Universiteit 行き(Eindhoven, Boxtel, Tilburg経由)、プラットホーム1番>という意味です。<Sprinter>とは電車の種類です。そして各プラットホームにはこのように<spoor 1 (プラットホームの番号)>と書いた看板や、プラットホーム番号が行き先とともに示されている電光掲示板を目にすることが出来ます。
また電車の窓にこのような<S>の文字が書かれた車両があります(大抵の場合は2階の座席)。
スマートフォンによる通話や大声でのおしゃべりが禁止されている、静かにのんびり乗車したい方のための車両となります。子供連れの方もこの車両には乗車しないことが多いです(他の車両が混雑している場合を除く)。
車両の外側には、必ず<1>もしくは<2>という番号が書かれてあります。
これは1等車両、2等車両という意味です。個人的には値段の安い方の2等車両でも何の問題もありません。
日本と似ているようで異なるオランダの公共交通機関利用時の注意
オランダの公共交通機関を利用する上で注意したいポイントは次の点です。
①いつも時間通りに発車するとは限らない。
天気や路線故障によって運行見合わせになる場合がよくあります。筆者は、いつも一本早めの時間に合わせて出発するようにしています。
②乗車中の飲食は嫌がられる。
長距離を移動する電車内では一般的に受け入れられていますが、バスやトラムの中では飲食をしないことをおすすめします。アイスクリームなどを手に乗車しようものなら、運転手に明らかに嫌そうな顔をされたり、乗車拒否されるケースもあるほど!食べ物やゴミを散らかすマナーの悪い人が多かったせいで、飲食を控えるのが暗黙の了解になっているようです。
③通勤通学時間帯を避ける。
オランダの公共交通機関の混雑時間帯は朝の6:30~9:00、夕方の16:00~18:00です。この時間は通勤通学者で溢れかえっています!さらに、割安のチケットを買ったとしても、この時間帯は利用できませんので、ご注意ください。
④自転車持ち込み乗客に注意。
日本ではほとんどないと思いますが、オランダでは電車に自転車(折り畳み自転車、通常の自転車)を持ち込むことが可能です。持ち込み可能スペースの車両には車両の外にこのように自転車のマークがあります。
この車両の乗車口に自転車を駐輪できるほどの大きなスペースがあり、そこに折り畳み式の座席も設けられていることが多いです。自転車持ち込みの方がいない場合はその座席を利用しても良いのですが、自転車持ち込みの方が乗車してきた際はそのスペースは自転車優先となるため、せっかく先に座っていても、立ち退かなくてはいけなくなりますのでご注意ください。私も満員電車の中でやっと見つけた座席だったにも関わらず、自転車持ち込みの方が出発ギリギリで乗って来たので立ち退いた、という残念な思い出があります。別の場所で座席を探すことをおすすめします。
困った時はこの人達を頼ってみよう!
多くの旅行者が利用するであろう大都市の駅では、上の写真のように黄色の服を着たオランダ鉄道の案内係が構内に駐在しています。もし駅構内で分からないことや不安なことが発生した場合は、尋ねてみると良いでしょう。もちろん英語で結構です。左胸に見えるロゴがオランダ鉄道従業員の目印です。
余ったOVカードの残金、返金方法は?
多くの旅行者が知らず知らずのうちにお金を無駄にしているのではないかと思えるくらい、サービスが複雑なので、注意が必要です。
旅行後に、OVカードに30ユーロ以下の残金がある場合、空港や駅のサービスセンターで返金手続きが出来ます。多くの旅行者が利用するアムステルダム・スキポール空港や、アムステルダム中央駅、ユトレヒト中央駅、ロッテルダム中央駅などにはこのサービスセンターがあります。しかし!残金が30ユーロ以上の場合はこのサービスセンターで手続きをして、後日、個人の銀行口座への振り込みという形になります。ただし、この振り込み先口座はオランダの銀行口座のみ!ということは、外国からの旅行者の外国の銀行口座には振り込んでもらえないのです。そのため、前もって多額のチャージはせず、旅行の状況に応じて少しずつチャージすることをおすすめします。
アイントホーフェンでおすすめのホテルとレストラン
日本からの旅行者にはアムステルダムやユトレヒトなど観光都市が有名ですが、筆者が住んでいるオランダ南部にもアイントホーフェンやマーストリヒトなどの観光都市があります。今回はアイントホーフェンでおすすめのホテルとレストランをご紹介します。
おすすめのホテルは「パークプラザ アイントホーフェン(Park Plaza Eindhoven)」です。
このホテルはアイントホーフェン駅から徒歩約10分と便利な場所にあり、駅から市内側に出てほぼまっすぐで道なりのため分かりやすいです。また市内を通ってくるため、市内の様子を見ることができます。ホテル内には屋内プールやジムも完備され、宿泊者は無料で利用できます。一番お求めやすい価格の部屋でもこのように清潔感があります。
ホテル内には二つのレストランが併設されています。一つは中華料理店、もう一つは日本料理店です。日本料理店は夜のみの営業ですが、中華料理店ではランチも可能です。特に中華料理店は、オランダ人好みにアレンジされた味ではなく、本場の味を再現していることを誇りにしているそうです。
米粉を使って作ったヌードルは、こんにゃくのような歯ごたえと焼きそばに似た味です。オランダ料理も良いですが、このように違った味を体験してみるのも良いのではないでしょうか。
【ホテル情報】
パークプラザ アイントホーフェン(Park Plaza Eindhoven)
住所:Geldropseweg 17, Eindhoven 5611 SC, Netherlands
電話:+31 40 214 6500
この記事が日本からの旅行者の方のお役に立てればと思います。どうしても不安という方でも、大丈夫!分からないことがあれば、オランダ鉄道の案内係の人はとても丁寧に説明してくれます。また私がよく見かけるのは、通りすがりのオランダ人が旅行者のOVカード購入を手伝っているという場面です。オランダ人は観光客に対して親切な人が多いと思います。そこでも地元の人との交流が楽しめると思います。ぜひオランダで楽しい思い出を作ってください!Goede reis!(良いご旅行を!)
筆者ご紹介 | ||
---|---|---|
地球の歩き方アイントホーフェンWeb特派員 ベッカーズ 絢嘉
オランダ人男性との結婚を機に2007年にオランダに移住。一年半後、オランダ語国家試験であるNT2-2に合格。現在は家事や育児に奮闘する傍ら、おしゃべり好きを武器に現地の友達やママ友との交流を深めている。現地小学校や個人レッスンで日本語及び日本文化の講師をするなど、とにかくじっとしていられない性格。オランダやオランダ周辺国の旅行情報や生活情報など、旬な情報を地球の歩き方アイントホーフェンWeb特派員ブログからお届けしています。
あわせて読みたい
まるで町全体が美術館!オランダで訪れたい「ゴッホの町」
『ひまわり』や『アルルの跳ね橋』、『星月夜』など、多くの作品で世界中の人々を魅了する絵画の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホ。オランダ出身の彼は、どんな所で、どんな風に暮らし、どんな風に絵を描いていたのでしょうか。「ゴッホの町」とも呼ばれる、彼が生前暮らしていたヌエネン(Nuenen)の魅力を紹介します。
一度は行ってみたい!オランダ・キューケンホフ公園とフラワーパレードの魅力
その美しさから「世界一美しい春の公園」と呼ばれているオランダ、キューケンホフ公園。オランダといえばチューリップをイメージされる方も多いと思います。キューケンホフ公園の魅力と園内マナーなどについて紹介します。