今回は1997年に移住し、スポーツ、ファッション、インテリア関連記事の執筆やミラノの見本市などでの通訳、テレビ番組などのコーディネートをこなす、イタリア・ジャーナリスト協会会員、ミラノWeb特派員の赤星敬子さん提供の現地情報をご紹介します。
もはやミラノの春の代名詞ともなった「ミラノサローネ」が、2017年も4月4日(火)〜9日(日)まで、フィエラ・ミラノ・ロオ(Fiera Milano Rho)で開催されます。昨年は世界160ヵ国から2,400社が出展し、30万人以上の関係者で大いに賑わいました。イタリア、ヨーロッパだけでなく、世界的にインテリア、照明などの内装全般を自社アピールできる場とあって、各ブースは商談の熱気にあふれ、また一般来場者も3万人を超える大盛況でした。
開催期間の前半は関係者のみで、今年は一般の方は8日(土)〜9日(日)の2日間だけ入場することができます。入場料はシングルチケット30ユーロ、カップルチケット44ユーロ、ファミリーチケット(大人2名、18歳以下1名)49ユーロなど人数が増えると割安になるしくみ。今年で56回目を迎えるこのビッグイベントの見どころ、また会場まで行かなくてもミラノ市内で楽しめる「ミラノサローネ」の魅力を、現地からお伝えしましょう。
◆誰でも気軽に楽しめるフォーリ・サローネ
ミラノ市民が楽しみにしているのが期間中に同時に開催される「フォーリ・サローネ」(Fuori Salone)です。直訳すると"外のサローネ"。市内のインテリア、キッチンメーカー、テキスタイルのショールームなどのデザイン関係やファッション関連のショップが自身のブランドを多くの人に知ってもらうために、イベントや特別展示を独自に開催します。また、メーカーが一時的にスタジオやデザインルームを借りて、インスタレーションなどで自社をアピールする場でもあります。
「ミラノサローネ」とは違い、ほとんどのショップが無料で見学できるところがうれしいですね。高級なイメージのショールームなどは、よほど真剣に購入を検討していない限り、普段はちょっと入りづらいものですが、「フォーリ・サローネ」の期間中は、どのお店も一般の人々でごった返しているため、あまり気にせず間近で洗練された商品をみることができます。
◆ブレラ、トルトーナ地区はこの時期おすすめ
市内にはショールームが集まっている地域が数ヵ所かありますが、外せないのはブレラ(Brera)地区とトルトーナ(Tortona)地区です。
ブレラ地区とは、スカラ座の横から延びるブレラ通り(Via Brera)、ソルフェリーノ通り(Via Solferino)、ガリバルディ通り(Corso Garibaldi)、コモ通り(Corso Como)のあたり。普段からデザイン事務所、ファッション関係のセレクト・ショップなどが軒を連ねていて、ウィンドーショッピングが楽しい界隈です。
この地区にあるシンプリーチョ教会(Chiesa Simplicio)の裏の回廊で、昨年はとても印象的な展示がありました。
フレスコ画が美しく保存されている回廊の庭一面に、真っ白な小石を敷き詰めて、モダンでシンプルな椅子が並べてありました。日本のデザイナーの方の作品だったようです。このような形で、歴史ある場所に現代のデザインを融合させたアイデアは斬新でありながら、とてもマッチしていて感動しました。
トルトーナ地区とは地下鉄ポルタ・ジェノバ(Porta Genova)駅裏のトルトーナ通り(Via Tortona)やサヴォーナ通り(Via Savona)のあたり。仮設ショールームや展示会場があふれていて、とても活気がある地区です。昔は道幅が狭く、うす暗いイメージだったのですが、最近は若者やデザインに興味のある人々、家族連れなども週末に足を運ぶ場所になりました。
◆フランチャコルタとエクレアがおすすめグルメ
「ミラノサローネ」、「フォーリ・サローネ」で歩き疲れたら、イタリアン・ワインの軽やかなスパークリングがおすすめです。すっきりとしながらも味わい深い「フランチャコルタ(Franciacorta)」が特におすすめなので、ぜひ味わってみてください。「フランチャコルタ」とはミラノからヴェネツィア方面に行く途中のブレシアから北西部にある地域の名称で、そのまま最上級スパークリング・ワインの呼称となっています。独特なラインのグラスに注がれたフランチャコルタはきめ細やかな泡立ちが長く続き、その繊細さがとても美しいです。
パンにしてもドルチェにしてもジェラートにしても保守的だったイタリア人が、2015年の食のエキスポをきっかけに変化し、昨年からミラノでは、フランスの食文化がブームになっています。ガリバルディ通り(Corso Garibaldi)のエクレア店「レクライール・ド・ジェニ」(L’eclair de ge’nie)は、ショップの外観もカラフルでとてもかわいらしいお店です。エクレアをテイクアウトして食べながら、インテリアや洋服、小物のショップが経ち並ぶガリバルディ通りをウィンドーショッピングも楽しいです。
ミラノサローネ国際家具見本市開催日程:2017年4月4日(火)~9日(日)
・ミラノ市内から会場へ
地下鉄地下鉄赤線M1、Rho-Fiera(ロー・フィエラ)方面行き、終点Rho-Fiera駅下車※ミラノ市外料金の切符が必要片道券 2.50ユーロ(105分間有効。地下鉄1回のみ)往復券 5ユーロ(片道105分間有効。地下鉄1回のみ)一日券 7ユーロ
・会場からミラノ市内へ
無料シャトルバス(Rho-Fiera 会場⇒ミラノ市内/15:30-19:30 15分毎※ミラノサローネ国際家具見本市開催期間中のみ出発:会場South gate 南口到着:Cadoma(カドルナ)駅、Via Boccaccio(ポカッチョ通り)の角Piazza Cordusio(コルドゥージオ広場)、Via Meravigli(メラヴィリ通り)の角
筆者ご紹介 | ||
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| | イタリア・ジャーナリスト協会会員、「地球の歩き方」ミラノWeb特派員 赤星敬子1969年1月14日、兵庫県明石市生まれ。神戸女子大学を卒業し、大阪日刊スポーツ新聞社に入社。セリエAなどヨーロッパのサッカー好きが高じて1997年にイタリアに渡る。その後、デイリースポーツ新聞の通信員としてセリエAの日本人選手や2006年のトリノ五輪を取材。サッカーサイト、雑誌などに執筆中。スポーツだけでなくファッション、インテリア、ミラノの見本市などでの通訳、テレビ番組などのコーディネートも多い。 | |
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